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2014年6月18日水曜日

蟲文法

 青空がのぞく日が続いたので、梅雨が明けたのだと思い込んでいましたが、そうはいかなかったようです。大自然は人間ひとりの思惑なんかに一切左右されることなく、今日もその営みを永々と続けていくのでしょう。自然を前にして古本屋ができることと云えば、陽気のいい日に太陽の恩恵を一身に浴びながらウトウトするぐらいでしょうか。
 梅雨が明け真夏がやってくると、小さな生命がいよいよ本格的に活動を始めます。そう、虫たちの季節の到来です。人の虫に対する態度もいろいろあって、肉眼ではほとんど捉えきれないくらいの小虫が視界を横切ったぐらいで大騒ぎする人もいれば、うちの母親のように素手でゴキブリを捕まえることになんの躊躇のない人もいます。自分のことを言えば、たとえばコクワガタなんかが駅の壁に張りついていると、捕まえてポッケに入れて持って帰りたくなりますが、ゴキブリには腰が引けます。昨日も店に来る途中に寄ったトイレで遭遇。ちょっと怯みましたが、無事に用を足すことに成功。あれも屋内屋外、どちらで出逢うかでだいぶ対応が違ってきます。外であれば素知らぬ顔でやりすごしますが、これが部屋であろうものなら、即座に臨戦態勢、エゴを剥き出しにした人間と罪の無い小さな生き物との命を賭けた応酬が始まります。
 人間の意識レベルが進化し、いつの日か虫たちと交信ができるようになった時、人は今までの殺戮をどんな言葉で弁明するのでしょうか。昨日は帰りの道でムカデにも遭遇。少しの間、横並びになっていっしょに歩きました。

『蟲・人・自然』大町文衛
養徳社 1948年9月30日三版
カバー少破れ       
500円
竹製虫かご
縦8,8横6,6高さ7,4センチ
天井部竹1本欠け
SOLD OUT




 

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