ページ

2015年12月31日木曜日

どすこいメモリアル

新年営業は1/5(火)からです。
どうぞよろしくお願い致します。


 暮れゆく2015年に思いを馳せれば、様々なことが脳裏をかすめていきます。泣きながらの仕入、もろもろの支払いの算段、ゆで太郎、『点店』開催、フルーツパーラーゴトー、涙の行商、ゆで太郎、『八丁堀バザール』・・。
 少しは面白がって足を運んでくださるお客様や、何かと気にかけてくださる同業の方々のお蔭をもって生き延びていることを思えば、もはやどこにも足を向けて寝ることができず、常行三昧並みに立ったまま眠らなければならないぐらいですが、それほど肝が座っているわけでもないので、夜は布団で割とグーグー寝てます。そのお蔭でまだまだ健康体なので、来年も肉体を駆使して楽しいものを手に入れてまいる所存です。
 2月には現代美術なのか何なのか、当店としては変化球の展示を準備しておりますので、こちらも密やかにご期待いただけましたら幸いです。年が明けましたら詳細をお知らせ致します。
 来年もなにとぞ変わらぬご贔屓を賜りますようお願い申し上げます。よいお年をお迎えくださいませ。


クレーのある種の絵や松本竣介の
ドローイングを彷彿とさせる線描。
年末のイベントに来てくださった
  年若い俊才からの贈りもの。     

12月末現在の店内風景。
買い出し屋さんみたいで
楽しい状況になってます。









2015年12月28日月曜日

失楽園

人間存在を根底から揺るがす楽しいお買い物イベント『八丁堀バザール』を
当店にてただいま開催中!お一人でもお誘い合わせでも楽しめる催しです。
ぜひお運びくださいませ!

年末は12/29(火)が最終、新年は1/5(火)からの営業です。
どうぞよろしくお願い致します。


 暮れも押し詰った29日まで催事を入れるというのは、暴挙と呼び得る行いでしょうか。アダムとイヴが禁断の果実を口にして神の怒りを買って以来、人類は苛酷な労働を余儀なくされているわけですから、それを思えば人として当然のことをしているだけとも言えます。とはいえ、陽の傾きはじめたあたりからアルコール飲料を摂取して酩酊状態に陥ることが、果たして労働といえるのかどうか。これでは新たに神の怒りを買うことになりはしないか。そんなアンビバレントでオルタナティブなイベント『八丁堀バザール』は、明日29日まで当店にて開催中です。
 お蔭さまでたくさんの方にお運びいただいた上に、差し入れまで頂戴しておりまして感謝の念に堪えません。底冷えのする店内を暖かな風が吹き抜けていくようです。本当にありがとうございます。この怖るべきイベントは明日まで続きます。年末年始の必需品を揃えた後は、ぜひ不要不急品を買いに八丁堀までいらしてください。



苦役と享楽の挟間で。

 
 
何かに使ってみたくなるものが盛りだくさん。


 
 





2015年12月14日月曜日

ザギンの人

12/25(金)〜29(火)は激動の時代にひとときの安らぎを提供するイベント
八丁堀バザール』を開催!来るべき2016年に向けて心に残るお買い物を
お楽しみください。

15日(火)・16日(水)は仕入のため休業いたします。毎度泣きながらの仕入ですので
今回は涙をこらえて挑みます。何が買えますでしょうか。


 たいていいつもそうであるように、その日も店でひとりぼっちのラグジュアリーな時間を過ごしていると、一人の青年が飛び込むように店内に入ってきました。以下、その時のやり取りです。

「私、ここの新しい店名を考えたんですよ!」
「え?」
「逆境です。書肆逆境。」
「え?」
「もしくは逆ギレ。いや、逆噴射?あるいは逆襲・・。」
     (間)
 青年、ソファに腰を下ろしながら、
「いやあ、どうですか、最近。」
     (間)
「甘栗、食べますか?」
「な、なんですって!?」
「甘栗。」
「甘栗ですか!はい・・、甘栗・・。」
 店主、青年に甘栗を皿に盛って差し出す。
 青年、モリモリ甘栗を食べながら、
「逆境かあ。いいですよねえ。逆境・・。」
「逆子。」
 青年、とつぜん笑い出す。
「逆子!逆境!逆光!逆ギレ!」
 青年、甘栗を食べる手を早める。
「私、これから店に戻らなければいけないんです。」
 おもむろに立ち上がり、店から退場。

 この意味不明の掛け合いの相手こそが誰あろう、森岡書店銀座店の店主・森岡督行氏で、氏は今月初めに誠文堂新光社より『本と店主』という本を上梓しました。個人経営の店主13人から、本にまつわる話を森岡さんが対談で聞き出すという体裁を取っていて、あろうことか当店も掲載の栄にあずかっているのです。それで少しは販売促進のお手伝いをと思っているわけですが、このブログが拡販の足しになるのか甚だ疑わしく、それどころか、買うつもりだったけど、これ読んだら買う気が失せたと思われるのが何より恐ろしい・・。
 読みどころとしては、なんと言っても森岡さんの話を引き出す手腕です。手腕というより、スマイルズの遠山正道氏云うところの「虎の赤ちゃんのような」森岡さんの眼に、各人の思いを引っ張り出されているといった感じでしょうか。12/15(火)〜20(日)に当の森岡書店銀座店で、『本と店主』の出版記念展示を行なうそうです。同書と共に、装画を担当した平松麻さんの原画が並ぶとのこと。ぜひ足を運んで、今の世に稀な資質の店主を目の当たりにしてください。その後は、どうか当店・書肆逆光にもお越しいただけましたら幸いです。


森岡督行 1974年山形県寒河江市生まれ 
2006年茅場町森岡書店オープンを経て、2015年に
一冊の本を売ることをコンセプトとした書店  
     「森岡書店銀座店」をオープン。今に至る。        

※肖像写真掲載につきましては、御本人の爽やかな承諾を得ております。



『本と店主』 森岡督行
誠文堂新光社 2015年12月12日発行 
撮影 萬田康文、松村隆史
装画 平松麻
ブックデザイン 新保慶太+新保美沙子(smbetsmb)
構成・編集 長井史枝
編集協力 齊藤美緒、五十嵐友美
プリンティングディレクター 栗原哲朗(図書印刷)
校閲 (株)ヴェリタ
発行者 小川雄一
印刷・製本 図書印刷 株式会社
1,500円+税









涙のWEB行商、冬。寒い季節に冷え枯れた品のご紹介です。


木原茶碗とピストル
ブリキと木でできた鉄砲。銃身横のハンドルは
動かず。引き金がかろうじて動くのみ。   

唐津と伊万里の中間のようなものを焼いて
    いた木原窯。これは伊万里寄りですね。    
                 窯の場所は長崎県の佐世保。              
   キズのひとつもあれば侘しさ倍増ですが、     
  本品は惜しいことに無傷。          
木原茶碗 江戸前期〜中期
口径10.6×高さ6.9×高台径4.5センチ
鉄砲 昭和    
 銃床〜銃口の長さ28センチ     






森岡さん





木原茶碗 SOLD OUT
   鉄砲 SOLD OUT   














2015年12月9日水曜日

凄まじき哉、人生!

12/25(金)〜29(火)は切ないぐらいに楽しいお買い物イベント
八丁堀バザール』を開催!しかも25(金)・26(土)はクリスマスシフトとして
21:00まで営業いたします。振る舞いワインもご用意いたしますので、
一杯飲んでから帰るつもりならば、ぜひ書肆逆光で!

11日(金)は仕入のため15時頃の開店です。
13日(日)は富岡八幡宮の骨董市に出店いたします。
15日(火)・16(水)は仕入のため休業いたします。


 先日の日曜日は久しぶりに大江戸骨董市への出店でした。しこたま儲けてビルごと買い上げれば、月々の家賃の支払いから解放されるじゃないか!といった夢物語は禁じ手にして、ひたすら堅実に現実的に売りに徹するというのが、今回の作戦です。というか、本来当店にそれ以外の作戦は存在しないのですが。
 荷解きをして陳列を終え、さて三箇日の目黒不動尊並みの人だかりができるか、と身構えるも皆さん素通り。どうも行き交う人々からあまり買い気オーラを感じることができません。これは商品構成を誤ったのか、はたまた年末商戦前の買い控え意識が働いているのか・・などと暫し自問自答を繰り返します。見てくださる方は「不思議なものを扱ってらっしゃるのねえ」とか「マリファナを吸っている人間が集めたかのような品揃えだ」といったことを口にされます。ポジティブシンキングモードに脳内を変換させれば、いくらでもいいように解釈できますが、実のところわけの分らない業者だということなのでしょう。
 いつにも増して家族連れが目立ち、手を引かれて歩く小さい人たちも、目に入ってくるあちこちに並ぶものに興奮して、パパやママに向かって何やら言っています。
「堀の手であっても、見所があれば問題ないよ」
「ものが無いとはよく言うけど、結局はその人次第だよね」
「クリスマスプレゼントは神護寺経経帙の組紐がいいな」
自己流で読唇したところ、どうやらそんなことを口にしているようでした。微笑ましい光景に暖まった心と吹き抜ける不景気の寒風で、プラマイゼロの停滞前線が発生したかのような行商なのでした。
 それでは今週もどうぞよろしくお願い致します。


今日は店内写真1枚だけです。気になって仕方がないといったものがございましたら、お気軽にお問合せくださいませ。

ファイバー製の箕、漆桶、鍛鉄の燭台、越後縮 sold out   
文机の天板 sold out、鏃 sold out、縄文土器片などが写り込んでいます。

箕は素材がケミカルなのに、縁が竹の野田口仕上げで
擦れ味も抜群という謎めいた品。燭台はこの高さが
珍しいですね。約73センチあります。漆桶もよくある
どっぷりと漆に固められたものではなく、樹皮の表面が
白く粉を吹いたようになって表情があります。赤石山脈
の麓あたりから出たものだそうです。