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2019年2月2日土曜日

伊皿子坂でつかまえろ

 2.6(水)より中央区と港区を爽やかに繋ぐ痛快古物買い廻り企画『点店』が始まります。ノー・コンセプトさんがお引っ越しということで一時中断していましたが、下町と山の手の分水嶺、まさしくゲートウェイ的雰囲気を濃厚に漂わす土地・高輪泉岳寺にて同店が営業を再開。その寿ぎのムードが醒めやらぬうち、あえてニッパチに再始動と銘打っての開催です。
 住居兼店舗の物件なので、ふだんは予約制営業のノー・コンセプトさんですが、この時ばかりは特別開放で出入り自由。大いに自由を謳歌しながら港区と中央区の魔窟を繋いでください。加えて、店主の兼子さんが隠し持っていた私物をいよいよ開放するそうです!物に淫することに関してはあの六本木の大店の主をも凌ぐ、すでに半ば伝説と化している人呼んで非売の王、あの兼子さんが秘蔵の物を天下に晒すとなれば、何を差し置いても駆けつけないわけにはいきません。逆光としても店を放ったらかして、仕入に馳せ参じたいところです。というわけで皆さま、平成最後の立春、泉岳寺でお会いしましょう!


ノー・コンセプトまでの道。
都営浅草線 宝町駅から乗ったと仮定して。
品川・羽田空港方面の先頭車輛に乗るといいですね。

エスカレーター・階段を上って、改札。


ここを出て、

右手に行ってください。


階段を上がって正面を見ると、

横断歩道の先に聳える白亜のマンション。
ここの304号室がノー・コンセプトです!

泉岳寺で何か美味いものを食べなければ気が済まない方は
横断歩道を渡らず右に曲がり伊皿子坂を上りましょう。

途中、なか卯がありますが、ここはスルー。

急カーブの左手奥に見えるのが泉岳寺。

渡らずにそのまま坂沿いを進むと、

見えてくるのが老舗洋食屋『樫の木』の看板。

平日ランチはロースステーキとかピラフとかカレーとか。
だいたい1,300円。ふだんならこの半分以内で済ませたい
お昼ご飯ですが、ノー・コンセプトに来た記念にぜひ。 
何食っても美味い店です。              

2019年1月1日火曜日

羨ましきは鴉共に我が肉喰えやと言いたる詩人よ

 明けましておめでとうございます。旧年中の皆さまのご愛顧によって、恙無く新年を迎えることができました。心よりの感謝を申し上げると共に、本年がより良い発展の年となることを祈念して、まずは今年一回目のブログです。
 と言っても、新年恒例そこらをうろついてきただけのいつもの雑記です。しかも路面軌道でも敷いてあるかのごとく、毎度変わらぬ道筋を歩いているので、もはや言い立てることは何もないのですが、いくら反復といえど全く同一の現象が起こるわけもないので、その交換不可能性を信じて今年も漫ろ歩きをしてきました。
 まずは遅めの朝ご飯に、大納言小豆を煮たお汁粉にてエネルギーチャージを済ませました。年末に古い漆椀を手に入れたので、これでちょっと甘味を食してみたら小粋な事態が発生するのではと思って使ってみたのですが、特に何も発生はしませんでした。が、なにかしら好い事をしている錯覚に陥ることができるので、ぜひ皆さんにも試していただきたいと思います。現代科学では数値化できない微細な感覚が研ぎ澄まされていくような気がします。


右は東北の根来。江戸初期と言いたい古格。    
左の半筒型は北陸辺りでしょうか。江戸中期は   
ありそうです。                 
                   

 さて地元の神社にお参りしてから、わざと脇道を迷い込むように歩いてみたのですが、たいていの道がローマに通じているように、入り組んだ細い路もそのうち大通りにつながってしまいます。結局迷子になることもできずに、ふつうに明治通りをスタスタ進んでいきました。向島百花園の板塀を左手に過ごし道沿いに歩いて行くと、白鬚橋東詰の交差点あたりでニュージャーマンシネマ的な風景が心の中に広がります。何がそう思わせるのかは分からないのですが、早稲田松竹でヴェンダースの三部作を観た時の索漠とした気持ちが甦ります。

明治通り沿いに存在する中華料理屋。少し建物のパースが
狂っているようです。いつか入りたいと思いつつ果たせずに
いる場所。今はもちろん年始休み。           

白鬚橋手前。急に視界が開けて人工的な風景になります。



福原信三的風景 
堀野正雄的光景

 ふいに右手を見てみたらば、例年はなぜかスルーしていた石濱神社が目に入ったので、寄り道。ていうか、散歩なので直行も寄り道も関係ないですが。本殿が神明造で社格が高そうなオーラが漂っています。案内を見れば、神亀元年(724年)創建だと云うから、たしかに古いですね。境内には富士遥拝所とか庚申塚とかあって、古代・中世というよりは近世江戸の趣きをよく残しています。川沿いにあって、側にきれいな公園があって、なにより賑わいがあって、とてもいい神社です。

浅草名所七福神会の九社寺のひとつでもあります。




 一般に、日光を見るまで結構と言うな、バッハに行くまでブッフバルトと言うな(意味不明)と言われるとおり、人は生ある限りバッハに通ってしまうようです。初詣は毎年バッハに、という方も多いのではないでしょうか。泣きながら泪橋交差点を渡って左折したあたりで、今度はファスビンダー的な心持ちになるのを感じます。交番を過ぎ伝説の居酒屋を横目にやり過ごすと、バッハの看板が見えてきます。ここで働く人たちの水際立った動きは、己がいかに怠慢であるかを写す鏡です。そして毎度恐れ入りながらバッハブレンドとチョコレートケーキを注文するのです。ある種、身を浄める行為であると言えます。
 



 だけど人間の欲望というのは足ることを知らないから、せっかく浄められた身を「バッハもいいけどゴトーもね」という、どこからともなく聞こえてくる内的な声にたやすく穢されてしまうのです。浄めと穢れ、ハレとケ、光と闇・・元旦早々鬩ぎあう解けない二元論。というわけで、浅草寺を越え、花やしきを過ぎ、爽やかにフルーツパーラーゴトーに到着。正月は皆さん、他の飲み食いに気を取られているので、いつも混んでるゴトーもこの時ばかりは狙い目かもしれません。襟を正して「9種の果実の冬色のパフェ」というのを注文してしまったんです。もはや仕方のないこと、すべては遅すぎたのかもしれません。意味がよく分かりませんが。

この時期すべては冬色に染まります。人も風景もそして
パフェでさえも。9種の果実の冬色のパフェ。    
    洋梨、柿、りんご、いちご、ざくろ、紅まどんな、      
   べにばえ、西南のひかり、日向夏。            

 
 いったいどれだけ食べれば気が済むのか。ほとんど七つの大罪のひとつ「貪食」を犯している気がします。清新と堕落による両輪の永久運動。しかしそのつもりで出掛けて、その通り食べてきたのだから、すべては計画通りだったわけです。一年の計は元旦にあり。今年は幸先が良さそうです。それでは本年も何卒よろしくお付き合いのほどお願い申し上げます。

隅田川流れる岸辺 想い出はかえらず

インスタグラムもぜひご覧ください→👃







2018年12月28日金曜日

漆、音、物

 いったい何が納まったというのか、そんな疑問符を背負いながら、逆光は本日12月28日(金)が仕事納めです。ただいま『Oubai 漆・蒔絵展』を開催中で、年明けて1月4日(金)から6日(日)まで同展示を継続いたします。年またぎ爽やか企画です。Oubaiさんは年の瀬だというのに、仕入の旅に行ってしまいました。なので、4日には何か新入荷が並ぶかもしれません。動向を虎視眈々とチェックしておいてください。この辺の近代漆器は、時代が近すぎるために編年研究なんかも特にないし、高級品以外はぞんざいな扱いをされがちです。そのシーンにOubaiさんが単独で果敢にハードコア・モッシュを仕掛けました。工芸、骨董、民俗、産業など、様々な線が錯綜する場を切り拓いていくOubaiさんの土性っ骨にぜひ注目してください。
 その後は12日(土)にひとつ、コンテンポラリーアーティストの中島吏英さんのパフォーマンスを逆光にて行ないます。音を出すインスタレーションやパフォーマンスを主軸にして、ロンドンを拠点にヨーロッパや中国などで活動している作家で、今回のイベントは作品集『おとになるーー30個のオブジェと10分の音』(トゥルーリング刊)の刊行を記念しての言わばドサ回りであります。主宰は発行元であるカワイイファクトリー。八丁堀がにわかにバーゼルのように様変わりするかもしれません。
 最後になりましたが、本年もいろいろな方にお世話になりました。本当にありがとうございます。来年5月で開業5年を迎えます。ほとんど地面に接しているぐらいの低空飛行の態でここまで続けられたのは、言わずもがな皆さまのお蔭です。一日でも長く、あと35年ぐらいは続けたい、と欲深い年の瀬であります。それでは、どうぞ良い年をお迎えくださいませ。来年もよろしくお願い申し上げます。








2018年12月24日月曜日

八丁堀かくれ里伝説

 12.25(火)-28(金)/1.4(金)-6(日)年末年始の年またぎ痛快企画『Oubai 漆・蒔絵展』の準備が整いました。というか整ったことにしないと、いつまでもキリがないことこの上なしといった感じです。おもに明治・大正あたりの時代椀や盆や皿などが並びました。桃山・江戸初の古格があるわけでもなし、松田権六や北大路魯山人の際立った作家性、磯矢阿伎良や奥田達朗の明瞭な批評性を備えているわけでもない、半端物の扱いで専門に取り上げる業者もいないようなジャンルに、あえて決死のダイブを試みる骨董界の荒くれ七面鳥ことOubaiさんの入魂のワーク・イン・プログレスをこの機会にぜひご覧ください。 
 こんなにも漆器が並ぶ様は、『遠野物語』のマヨイガの話を思わせます。「牛小屋ありて牛多く居り、馬舎ありて馬多く居れども、一向に人は居らず。終に玄関より上がりたるに、その次の間には朱と黒との膳椀あまた取出したり。」
 このマヨイガの一節は、立派な門があって、庭に一面花が咲いて、鶏や牛馬がたくさんいて、という農家の理想的風景と思われる描写のあとに、漆の椀が出てくるのがおもしろいところです。椀貸伝説のような類型的な伝承然り、やっぱり漆器は富を象徴する威信財だったんですね。そもそもこの店が、なぜこんなところでこんな物を売ってるのかという隠れ里的ポジションですので、漆椀が山積みになってる光景は、案外しっくりきたりするものです。
 それと、昨年当店でも展示をしてくれた植木智佳子さんが、新川の魔窟「マレビト」にて『ギンエンの密約』という展示をしています。12.22(土)-30(日)13時-20時、最終日18時まで。逆光⇄マレビトは徒歩で7~8分。マヨイガとかマレビトとか、なにやら師走にとつぜん口を開けた柳田・折口的な異界への穴に迷い込んでみてください。









2018年12月13日木曜日

漆ならびに膝

 今年の世相を漢字一文字で表すと、というイベントが公益財団法人日本漢字能力検定協会の主催で毎年開かれています。公募で集まったうちの最多応募数の漢字を、清水寺貫主の森清範師が手ずから、舞台に設えられたやたらと大きな和紙に揮毫している姿がテレビに映るのがこの時期です。自分なんかは、この報せを聞かないと師走になった気がしないものです。などということはまったくないどころか、一体どういうニーズに支えられてこの種のキャンペーンが、それなりに長く続いているのだろうかと、少しばかり頭を悩ませたりもするのです。そうして物思いに耽った後に頭を上げ外に目をやると、冬の低い光が雀や鳩や犬の糞を照らしているのが視界に入り、ああ、師走がやって来たんだなと実感します。 
 さて、では当店にとっての今年の漢字は何か。と、特に誰も知りたいとは思えないことに考えを巡らせると、「夜」とか「逃」とか「消」とか「失」といった漢字は幸いにして浮かんできません。それじゃ何だろうと考えてみるも、これといって思い浮かばず。それで今年のブログを見直してみたら、結構な大事件として「ゆで太郎八丁堀店」と「中華シブヤ」の閉店がありました。当店に起きたことではありませんが・・。その時の膝から崩れ落ちるような喪失感、涙を流すことさえ許さないような衝撃の記憶から、当店の今年の漢字は「膝」に決定しました。

 そして年末25日(火)からはOubai『漆・蒔絵展』です。血反吐を吐きながら集めた漆器どもの咆哮を聞け!とOubai工藤さんも息巻いて止まない渾身の企画です。幕末・明治・大正・昭和初期・・このあたりの漆器の展示販売というのは、ありそうでなかったと思います。逆光もOubaiさんの品物に合いそうな古漆器や焼き物や民具なんかを並べます。併せてご覧いただければ幸いです。
 26日(水)は18時半からトークイベントを入れております。『民藝のインティマシー 「いとおしさ」をデザインする』や『<民藝>のレッスン つたなさの技法』の鞍田崇さんとOubai工藤さんの漆と民藝のあれこれを巡る爆裂トーク。参加費1,500円。お酒、飲み物、つまみ等をご用意しておきますので、ガツガツと飲み食いしながらバンバン二人に突っ込んでください。席はまだございます。ご予約は逆光の方でまとめてお受けしているので、どうぞ奮ってご参加を。お名前・お電話番号明記の上、gyakko3@gmail.comまでお願い致します。→満席となりました。ありがとうございます。
 暖冬の予想だった割にしっかりと寒い今日この頃、皆さま何卒ご自愛のほど。そして元気な足取りでのお越しをお待ちしております。











2018年12月6日木曜日

逆走せよ!黄梅サンダーロード!!

青い空 いつまで どこまで耐えられるのか
              ーーーマイナーリーグ

 展示会のお知らせDEATH。12/25(火)-28(金)、1/4(金)-6(日)の7日間、弊店逆光にて『Oubai 漆・蒔絵展』を開催いたします。年内最後にして年始最初の、年をまたいだ展示会。「Oubai」の屋号で大江戸骨董市やイベントに出店している工藤さゆりさんが選んだ、蒔絵を中心とした漆器を展示販売いたします。江戸時代後期以降の金銀粉や貝殻などによって装飾された漆器が、Oubaiさんの主軸商品です。が、このあたり、根来や合鹿みたいなブランドが確立してるわけでもなく、石斎とか権六のような作家性で推すわけでもないという、売り買いするにはちょっと難しいカテゴリーであります。明治維新で上層の身分が解体してしまって、そこに抱えられてた各地の職人勢は大きな打撃を被ったと。そこで腕利きたちは、輪島に移って経済力を付けつつあった庶民階級を相手にハレの家財を作ったり、輸出振興の波に乗って万国博覧会向けの工芸品を手がけたみたいです。装飾の技法も豪華絢爛になって、いま見るとどうなんだこれはというのも結構あるわけですが、そこにOubaiさんは果敢に切り込んでいって、今の暮しに合うものを拾い上げてくるという次第なのです。
 漆器、それも蒔絵となると、いかにもハレの器と思われがちですが、使って楽しいならば断固として普段から使わなければならぬ!という、蒔絵界の伝道師として時代を逆向きに激走して止まないOubaiさんが、ついに八丁堀に降臨します。万障お繰り合わせ且つお誘い合わせの上でお運びくださいませ。
 ※お配りしているDMの営業時間が12時→18時となっていますが、正しくは12時→19時です。どうせ間に合わないと諦めることなくお出掛けください。
 
 12/26(水)はイベント内イベントとして、18時半より逆光店舗にてOubai工藤さんと哲学者の鞍田崇さんのトークを開催します。漆と民藝を軸として、縦横無尽、四方八方、前後左右に話が展開する予定です。酒とその他の飲料水&おつまみを用意してお待ちしております。お一人1,500円。ご予約は逆光で一括してお受けいたします。メールアドレスgyakko3@gmail.comまでお名前・お電話番号を明記の上でお申し込みください。小さなスペースですので、先着15名様で締切りとさせていただきます。→満席となりました。ありがとうございます。





2018年11月22日木曜日

字とは

 11/23(祝)から始まる山邉健太郎監修『文字見 文字寄』の準備が終わりました。終わりまくりました。書家である山邉さんが手元に招来した「文字」に関する物が並びます。今回の展示会では販売はありませんので、見ているうちに買い気に逸ってしまった場合は、併せて並べている弊店逆光の古物をお買い求めいただければ幸いです。もちろん、断固として逆光の品物など買うつもりはない、という意志が尊重されるべきであることは言うまでもありません。まずはとにかく山邉さんの静かな佇まいに潜む凄烈にして清冽な感性を感じ取ってください。と言っても、いま「書」で何ができるのか、という大上段の構えは一切なく、並んでる文字の中から好きなのを見つけてくださーい。というぐらいのユルい展示会でもあるのです。そこに却って先鋭的な企みを読むことも自由ですし、ユルさをそのまま楽しんでいただくのも大いに結構です。
 山邉さんの在廊は11/25(日)・27(火)・12/2(日)。その時にぜひ、展示タイトルにある「文字寄」を、いらっしゃる方にお願いしたいと思います。自分がおもしろいと感じた文字に関するものを持って来てください、というささやかな企画です。来る途中で拾ったチラシのレタリングとか、旅先で見かけた地場野菜即売所の看板の写真とか、古本屋の百円均一で見つけた本の書込みとか・・なんでもいいです。この展示には、ユルさと先鋭さがその都度配列を変えていく複数性が許されています。ですので、もちろんそんな企画など我関せずで、手ぶらで来てくださっても構いません。というわけで、11/23(祝)-12/2(日)『文字見 文字寄』へのお越しを心よりお待ちしております。


入って正面には唐代の紀泰山銘の拓

北魏 鄭道昭 東堪石室銘とか李朝の水盂とか

李朝時代 習字の反故を軸装したもの

宮島詠士の蘭亭叙なども

ご来店お待ちしております◎