ページ

2018年4月23日月曜日

中心と周縁

 4月26日(木)〜28日(土)に開催される『東京アートアンティーク 日本橋・京橋美術まつり』に参加いたします。キャプションに「日本最大級のアート密集地がここにある。」とあり、更にキャッチコピーには「数寄です、美術の街」と書いてあって、そんなのを見ると、当店の参加が何かの間違いに思えてきます。しかし21世紀も残すところ八十年ちょっととなった今、価値体系の明確なヒエラルキーも曖昧になってしまっていて、中心がどこにあるのかも分からず、多様に交錯する流れだけが存在しているのだとすると、千万単位の古美術も数百円のガラクタも同一平面にあるものとして視界に入れないといけないのかもしれません。まさしく”まつり”であって、この時ばかりは保守的な価値観を維持していると思われている街もアナーキーな祝祭の場と化します。
 参加店舗を掲載したイベント用のきれいな冊子も作られています。持ち分が少なくバサバサお配りすることができないので、ご希望の方はご来店の折にお声掛けくださいませ。もちろん逆光も載せてもらっておりまして、企画を出すと扱い枠が少し大きくなると聞き、『奇妙な食卓』というタイトルで一頁の半分で紹介していただいてます。たいがい奇妙なものしか置いてないくせに、今さらなんだと思われるかもしれませんが、だいたいそんな感じということでお察しください。
 興味の向きが古道具・ジャンク系にしかないという方や、蚤の市で安いものを探し出すことこそが情熱の源という方もぜひ足を運んでみてください。思いもかけずに価値の遠近法が変革されてしまったならば、それはそれで人生にとって愉しいことに思えます。皆さまのお越しをお待ちしております。

この赤いポスターがイベントのアイキャッチ

こんな感じに載ってます。上の飯田好日堂さんの
「わくわく文房具」の方が気になりますが。   

ちょっと見づらいのですが、右下66番に記載されております。
まさに中心と周縁のモデルケース。社会学や人類学を専攻している
学生さんはぜひこの機会にフィールドワークに勤しんでください。

金海産の堅手の鉢にスパイシーマトンカレーを。 



2018年4月12日木曜日

さっきの喫茶

 四月については、「最も残酷な月」だとか「何かが起こりそうな気がする」などと詩人たちは謳ったけれど、実際のところは茫洋とユルくて特に何も起こらないものです。だったらTeaでも嗜むとするか。というわけでお茶碗の紹介です。と、すごく雑な前振りで恐縮ですが、なにとぞご一読のほどを。インスタグラムでも以前にご案内した品ですが、こうして改めて見ると欲しくなってしまうなー、というふうに思っていただけたら幸いです。

 平形の高麗茶碗。平斗々屋という触れ込みで競り落したのですが、目跡の数や高台廻りの処理など諸々茶方の約束に沿わないようなので、厳密には斗々屋と言わないのでしょう。もちろんだからダメということは全くなく、分類化されてないからこそ自分で魅力を発見できる茶碗です。いかにも唐津の始祖であることを納得させる釉調、すでに相当お茶に使われたであろう伝世の味、手になじむ持ち重りなど、飽きずに手元に置いておけるものだと思います。

平斗々屋手 高麗茶碗
16世紀 
径14.1~14.3×高さ4.5×高台径4.8~5センチ

金直し一箇所。しっとりとした釉調と仄かに浮いた御本。

梅花皮と兜巾。高台側も見所に事欠きません。

素人が点ててもそれなりなので、手慣れた方にとっては
十分に小服茶碗として用を成します

ちょっと綿が出てしまってますが、糸味のよい御物袋に
収まっています。
sold