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2020年4月25日土曜日

あつまれ にんげんの林

あんなに近づいたのに遠くなってゆく
              ----------岸田繁 


 経営的なことを云うなら、常日頃から緊急事態宣言を発令している当店ですが、もはやそんな局面ではなくなりました。前代未聞の事態に、用が無いのに慌てふためきつれえのなんの(by宮本浩次)となるならまだしも、手の施しようがなくてむしろ落ち着き払った風情の今日この頃。派手に寝坊してすでに大幅な遅刻が分かり切ってるので、かえってのんびりし始めている心理に似ているでしょうか。動じず慌てず、出来る大人の仕事術10の法則。とか言ってる場合ではなくて、貧すれば鈍するで、対処すべき案件が容量を超えたために思考回路が遮断された状態です。三人寄れば文殊の知恵といっても、そもそも人の集まりが禁忌の昨今。真の独創は孤独から生まれると開き直っても、足りない脳からは何も出てきません。メールやリモートで案を出し合っても、やはり同じ空間でいろんな声を響かせ合うことには及ばない気がします。それにしても、たった一月前に差し向かいで飲んだ人たちが懐かしく感じるという不思議さ。
 
 というわけで逆光は店は閉めておりますが、インスタグラムで通信販売の品物を鋭意ご紹介中ですので、なにとぞお目通しを!→👃
 それとちょっと差し出がましいと思いつつ、友人や同業仲間の企画などをご案内。まずは漆工の相田雄壱郎さんが今月下旬から銀座のギャラリーで展示会を予定してましたが、当然のごとく中止に。まだ具体的には上がってませんが、今後何か通販的なことを画策してるようですので、随時チェックしてみてください。今回の展示については本人からもコンセプトを聞いていて、そこから察するに何やら80年代のゴダールみたいな過渡期のエモーションを纏った制作物が登場するようです。
 そして京都のトリピエさんでは渡辺林平さんの個展をwebにて4月25日から5月24日まで開催。渡辺さんは岡山出身・在住で、備前を皮切りに朝鮮や唐津や須恵などから着想を得たものまで作風を伸ばしている作家です。作品は全地下式の穴窯で焼かれるとのことで、詳しくはないのですがたぶん歩留まりは悪そうです。が、いい上がりの物が集まったみたいです。
 青山のそらんじさんは今年から満を持してインスタグラムを始めて、そこで独自の目筋で集めた物を紹介しています。開業の際のこのご時世に青山に店舗かよ!という周りの驚きを尻目に、店主は至って飄々としているようないないような、品物もそんな風情を纏ってます。
 広島に今年openした而二不二さんもかなりの独自路線を走る古物と作家ものの店。ニニフニと、日に何度も口にしたくなる屋号です。あっさりと店舗を構えてみせる土性っ骨とサイトから察せられる静謐な品揃えの対比に驚かされます。
 もう一軒驚かされるのが京都のGallery三さん。以前に高円寺で甘味処をやっていて、そこから紆余曲折を経てどうしてるのかと思っていたら、いつの間にか今年の春に京都に器屋を開いていました。肝の据わり方が突き抜けてますね。
 もひとつ、「賽」という骨董の小冊子を今年同人で刊行したのですが、そのweb版を現在公開中ですので、ぜひご覧ください→🌻 参加業者は志村道具店うまのほね坂本大toripie、逆光です。

 それでは皆様、どうかご無事にお過ごしください。収束後の解放感を夢に見つつ、今は地下潜行でもしてるつもりで、虎視眈々と世界の行く末を目に焼きつけましょう。


「賽」号外に載せた女神像です。いい像容だと思います。

 
よろしくお願い致します。