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2018年9月22日土曜日

北より来たりて

 みんな見たのでしょうか。太川陽介(本名 坪倉育生)と古村太(本名 古村太)との接近遭遇を。かつて「昇れ!太陽くん」のキャッチフレーズで世に出た都倉俊一の秘蔵っ子が、見慣れたビルの階段を上がっていく様子は、これといった演出がない分、かえって異様な緊張感を放っていました。そしてルイルイがドアを開けると、そこにはかなり見知った人の笑顔が。ちょっと怯んでしまうほどに古村さんがテレビ映えしている・・。このままサンミュージックに入れるんじゃないかと思うぐらいに。そんな古村さんのお店『マレビト』が出店している有楽町の大江戸骨董市には、弊店逆光も出ています。まずは直近9/23(日)のお運びを心よりお待ち申し上げております。と、古村さんの悠久の大地のごとき広い心に付け込んでの露骨な便乗宣伝で恐縮ですが、新入荷も持って行きますので、どうぞよろしくお願い致します。

 悠久の大地といえば北海道。彼の地ゆかりのアーティスト、ともちゃん9さいの1stアルバム『世界の果て、はて、ハテ。』が入荷してます。弊店が場を提供している詩人の会に参加している才能の士、全身表現者です。ジャンルはポエトリーリーディングですが、タワレコなどのショップでのカテゴライズだとJ-HIP-HOPのところに並んでいるそうです。だとすると、た行で鎮座DOPENESSの近くに位置してますね。鎮座さんとともちゃん。いっしょに積み上げたら、不安定な物質どうしの化学反応で爆発しそうです。
 音楽に合わせたポエトリーリーディングというのは日本だと馴染みがないですが、アメリカだったらルー・リードみたいな人がいて、『LULU』というとんでもないアルバムを出してます。それじゃ、ともちゃん9さいはガーリッシュなルー・リードかと言うと、だいぶ違う気がしますが、そういう名前を聞いて徐々に買う気が触発されてくるなら素晴らしいことです。自分が聴いて浮かんだのは、コーネリアス、頭脳警察、リリアン・ギッシュ、魔女の宅急便、エミリー・ディキンソン、ユリ熊嵐、油壺マリンパークetc. ああ、なるほど、なんとなく分かってきた、という方はぜひ。



はためくフラッグ 

かつてない緊張が走る。が、太川氏はリュック片方掛けの
リラックスムード                  
この場所、逆光から20メートルぐらい。ここまでニアミスして
おきながら、寄ってもらえなかった不甲斐なさ。      

『世界の果て、はて、ハテ。』特典CDRが付きます。2,160円。
下は久々入荷の石器類。長万部出土のレッテルが貼ってある
ものもあります                    

2018年9月10日月曜日

ひとつの戦い

インスタグラムで店内商品を紹介しております→👃 

 
 日曜日。先週の大江戸骨董市中止の痛手を癒すため、門前仲町まで行商へ。3年ぶりとなる富岡八幡宮への出店でした。あてがわれた場所が蟻の巣穴のたくさん開いた土の上で、そこに敷き布を広げれば当然蟻の出入りを塞いでしまうことになります。実際、品物を並べた布の上を、帰る家を失った蟻たちが右往左往しておりました。相済まない思いではありましたが、こちらも食い扶持を得るためのある種の生存競争に参加してるのですから、おいそれと場を譲るわけにはいきません。そこには昆虫も人間も変わらぬ切実な思いがあるはずです。そんなを気持ちを察知してか、蟻たちも「みなさん、ここで買ってあげてくださーい」「とても目利きで良心的な値段の店ですよー」と言って、自分のことを応援してくれているような気がしました。というのはウソで、「早くそこどけ!」「なんで金を稼ぎに来てんのに、割れたものばっかり持ってくるんじゃ!」「汝窯の水盤でも用意してみろや!」と、どうやらなかなか手厳しい意見を口にしているようです。向こうは数を恃みにして好き勝手言ってますが、こっちは4時前に起きて一人で来てんだよ、と意味不明の開き直りで対応しました。それにしても久しぶりの門前仲町、まだまだ蒸し暑いさなかをたくさんの方が足を運んでくださいました。八丁堀であれば、冷やした店内でゆっくりとお買い物ができますので、ぜひお店にも。それでは今週もよろしくお願い致します。




骨董市の日曜日、堅気だった頃に胸を高鳴らせてくぐった鳥居

御大が写り込みました

2018年9月5日水曜日

おはようこんにちはさようなら

 悲しみの涙は甘いそうだから、料理にこぼしてせっかくの塩加減を台無しにしてはいけない。平日のお昼前。八丁堀。中華シブヤ。ここ最近は足が遠のいていたので、ドラマ版『孤独のグルメ』の舞台になったことも、卸売市場の豊洲移転をきっかけに閉店することも知らずにいました。閉めると知ってノコノコ出向くのも、ちょっとダメな感じで気がひける・・とかいった自意識は彼方に捨て置き、久しぶりに行ってみたら、開店直後にもかかわらず満席&行列。すでにカウントダウンイベントの様相を呈していました。
 厨房は2,3人の増員態勢で臨んでいるので、回転は速いです。注文がいちばん多いニラ玉であれば、オーダーの有無を問わず見込みで作り続けているから、タイミングが合えば5秒ぐらいで出てくるかもしれません。もちろん作り置きではなくて出来立てです。注文→配膳のスピードは、ことによったら現時点の世界の飲食業界で最速かもしれません。これも経験の為せる業でしょう。創業は八丁堀の地で、先代から数えて六十余年とのこと。最終営業日は今月28日(金)。土日祝休み。営業時間は11:00〜14:00、17:45〜21:30。ですが、夜の部はすでに最終日まで予約でいっぱいだそうです。いつ行っても混んでいるお店でしたが、さすがに今の混雑ぶりは別格でしょう。お蔭でウェットな抒情に浸る間もないから、涙を流す余韻も今はありません。きっと店が閉まってからのある日、あの角を曲がって灯りの消えた赤い看板を目にした時に、大事なものがまた一つ、本当になくなったことが心に染みるのだと思います。

ニラ玉 ライスを付けて800円。ニラは毎日築地の市場に主人が
自分で買い付けに行くそう。160束ぐらい仕入れるとのこと。
地の利のお蔭でお昼の仕込みに間に合っていたのが、市場の
豊洲移転でそれも叶わない、というのが閉店のきっかけ。  


開店数分まえの光景。

小さな店内。厨房を含めて、逆光より少し広いぐらいでしょうか。