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2018年9月5日水曜日

おはようこんにちはさようなら

 悲しみの涙は甘いそうだから、料理にこぼしてせっかくの塩加減を台無しにしてはいけない。平日のお昼前。八丁堀。中華シブヤ。ここ最近は足が遠のいていたので、ドラマ版『孤独のグルメ』の舞台になったことも、卸売市場の豊洲移転をきっかけに閉店することも知らずにいました。閉めると知ってノコノコ出向くのも、ちょっとダメな感じで気がひける・・とかいった自意識は彼方に捨て置き、久しぶりに行ってみたら、開店直後にもかかわらず満席&行列。すでにカウントダウンイベントの様相を呈していました。
 厨房は2,3人の増員態勢で臨んでいるので、回転は速いです。注文がいちばん多いニラ玉であれば、オーダーの有無を問わず見込みで作り続けているから、タイミングが合えば5秒ぐらいで出てくるかもしれません。もちろん作り置きではなくて出来立てです。注文→配膳のスピードは、ことによったら現時点の世界の飲食業界で最速かもしれません。これも経験の為せる業でしょう。創業は八丁堀の地で、先代から数えて六十余年とのこと。最終営業日は今月28日(金)。土日祝休み。営業時間は11:00〜14:00、17:45〜21:30。ですが、夜の部はすでに最終日まで予約でいっぱいだそうです。いつ行っても混んでいるお店でしたが、さすがに今の混雑ぶりは別格でしょう。お蔭でウェットな抒情に浸る間もないから、涙を流す余韻も今はありません。きっと店が閉まってからのある日、あの角を曲がって灯りの消えた赤い看板を目にした時に、大事なものがまた一つ、本当になくなったことが心に染みるのだと思います。

ニラ玉 ライスを付けて800円。ニラは毎日築地の市場に主人が
自分で買い付けに行くそう。160束ぐらい仕入れるとのこと。
地の利のお蔭でお昼の仕込みに間に合っていたのが、市場の
豊洲移転でそれも叶わない、というのが閉店のきっかけ。  


開店数分まえの光景。

小さな店内。厨房を含めて、逆光より少し広いぐらいでしょうか。

 

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