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2015年6月30日火曜日

未来の行商

7/5(日)は有楽町の東京国際フォーラムで開催される
大江戸骨董市に出店いたします。
今のところの予報では開催が微妙な天気ですが、晴天を祈りつつ
皆さまのご来場をお待ちしております。

7/6(月)7(火)は所用によるお休みをいただきます。
なにとぞご了承くださいませ。


 先日の日曜日は乃木神社の骨董蚤の市に出店。懸念されていた天気は、むしろ爽やかな晴天に取って代わり、境内の木陰でのんびりと行商に勤しむことができました。のんびりし過ぎて、途中なぜ自分がここにいるのか分からなくなったぐらいですが、異界としての市という場を満喫できて楽しかったです。大江戸骨董市の1/10ぐらいの出店者ですから、規模は小さいものの、神社の中の空の下、という原初的な商いの雰囲気を売る方も買う方も味わえるのではないでしょうか。次回開催は7月26日(日)、初めての方も参拝がてらお立ち寄りください。
 と言いながらも、その頃には梅雨も明けて、刺すような日差しと息苦しいような照り返しによって、炎熱の世界が展開しているかもしれないことに、今からおののいています。心身の消耗もさることながら、商品へのダメージも大きくなるので、何を持って行くかの選定が非常に難しくなります。本や刷り物などの紙は反ってしまうし、鉄ものは熱くて持てなくなるし、木は干割れし、焼き物やガラスは爆発し、布は自然発火する・・。となれば、何もないスペースを前にして、店主が棒立ちになっているだけの、ベケットの芝居のような極度に抽象的な空間が現出する可能性があります。それはそれで胸が高鳴る気もしますが。新しいビジネスの予感でしょうか。
 というわけで、今週もよろしくお願い致します。


褐色型ハラビロカマキリの三齢幼虫。
   新しいビジネスの顧客は人間とは限らない。

白磁の猪口をおススメするも、向きでは
なかったようです。         



2015年6月27日土曜日

論理哲学論考

28日(日)は乃木神社で開催される骨董蚤の市に出店いたします。
おもしろいものを掻き集めて臨みます。よろしくお願い致します。

29日(月)は所用により臨時休業いたします。
なにとぞご了承くださいませ。


 古本で半人前、古道具で半人前ならば、合算して二つで一人前になるのでは、という根拠のない皮算用を胸に秘めて開業したのが、およそ一年前。単純に加算すればいいと思い込んでいたのが恐ろしいところで、乗算ならば1/2×1/2で1/4になってしまうことが頭になかったわけです。実際始めてみれば、たしかに自分の仕事などは0.25人前がいいところなので、人並みに見せるのであれば、人の4倍は働かなければならないわけです。この粗雑な思考の正当性がどのように保証されるかはよく分からないのですが、とにかく頑張らないといけないということだけは、ぼんやりと理解できます。しかし「頑張ろう」と思った瞬間、「頑張らなくていいんだよ」という反転したポシティブシンキングが頭を掠めるのも事実で、そういう囁きと戦うだけでも非常なエネルギーを要します。端から見れば、一切が非生産的なまま一日が費やされるのです。古物業に限らず、仕事とは概ねそうしたものかもしれませんが、皆さん、そういう状況とどうやって折合いをつけているのでしょうか。世界は謎のままです。




    匣鉢、わっぱ、火入れ SOLD OUT 
土器、醤油さしなど。  
窓から見えるビルは、大正12年創業の
   封筒作りひとすじ、株式会社山口封筒店。 

赤べこや黒べこ(SOLD OUT)。タイのモン陶でしょうか、
黒褐釉の小壺、トチン SOLD OUT、李朝の筆筒など。 



 


2015年6月23日火曜日

ハレとケ

25日(木)26日(金)は仕入のため開店時間は13時30分になります。
ご了承くださいませ。

28日(日)は乃木神社骨董蚤の市に出店いたします。
皆さまのお越しをお待ちしております。


 東京都中央区の周縁に位置する3箇所の古道具屋にて開催されていたイベント「点店」が終了しました。なにぶんイベント初心者につき、事をどう運べば展示会として成立するのかも分からずに始めたのですが、拙い運営にもかかわらず、会期中はたくさんの方にお越しいただきました。ご来店、お買上げ、宣伝告知等にご協力くださった皆さまに深く感謝申し上げます。今回の売上げを元手に、銀座花椿通り沿いへの移転を目論んでいるということはなく、変わらずこの辺境の地で小商いに勤しんでまいりますので、なにとぞよろしくお願い致します。
 イベントと言っても、そのとき手元にある在庫を並べて見てもらうのですから、実のところ日頃の営業と大して変わらない気もするわけですが、それでもなんとなくお祭り感が付いてまわるものです。その証拠に、いつもは「ゆで太郎」で済ます昼ご飯が不自然にランクアップし、あえて2度も「中華シブヤ」に行ってみたり、老舗の「あさだ」で天もり蕎麦なんか注文してしまいました。勢いづいて理性の箍が外れたら、マンダリンオリエンタルあたりまで出張って、「シグネチャー」のアニバーサリーランチ9,900円(税サービス料込)などを食べに行ってたかもしれませんから、やはりイベントというのは危険なものであることを心に留めておくべきでしょう。
 この際、東日本橋から八丁堀、新富町あたりが、いっそうの辺境となれば面白いと思っております。次回開催に向けて、ご意見等いただけましたら幸いです。
 
 
 
 













2015年6月19日金曜日

名づけえぬもの

君たちの歴史はもはや分かりすぎている
               ----------世界革命戦争宣言

花をみて風をみて目をそらさず
           -----------原田知世

ラッキーセブンの5
      ----------具志堅用高
 

 中央区日本橋茅場町某所にて開催されている怖るべき展示即売会「BEYOND LIVE AND EVIL」を皆さんはご覧になったのでしょうか。証券金融の街が、その場所だけ俄にケ・ブランリー状態に様変わりしており、敏感な人であれば、局所的な時空間の歪みを察知せずにはいられないはずです。現在開催中の「点店」は、そもそもこの展示の開催に合わせて発案された便乗企画と言っても過言ではありません。
 中に入れば、18世紀英国のシルバーカトラリーやサルグミンヌ窯の花形リム皿、オールドバカラのステム付グラスなどが透明な光彩を放って可愛げに並んでいる、ということは一切なく、鬼面や呪符や地獄絵図、不動明王のレリーフや牛糞で作られたという仮面が、禍々しい波動を発しながら鎮座しているのを見ることでしょう。それらの物には一応、マリア観音だとか雨乞いの奉納具といった名前が付けられてはいますが、それもいかにも便宜上のことであって、いったいなぜこの世に生まれてきたのか、自分たちは与り知らぬといった風情でそれらは並んでいます。
 この展示会は、価値あるものを集めて、その大系のヒエラルキーを理解すれば見たことになるというものとは一線を画しています。どうしていいか分からずにいる物たちと一緒になって戸惑うしかないでしょう。全人類必見の「BEYOND LIVE AND EVIL」は20日(土)まで。それに絡めて「点店」の各店もどうぞお廻りください。八丁堀のゆで太郎で昼食をお考えの方は、土曜日は15時で終了なのでご注意くださいませ。書肆逆光は焼き物を追加で入荷いたしました。二度も足を運ぶつもりは無い、と思っていらっしゃる方もお考え直しいただければ幸いです。






























 

2015年6月16日火曜日

だもの人間

 現在、中央区内の3箇所4店舗を点と点でつなぐ古道具のイベント「点店」が開催されております。書肆逆光は、主に和布を扱う教草さんとの共同展示です。ただでさえよく分からない通常の品揃えに布が加わるとなれば、もはや何屋なのか分からなくなるおそれがありましたが、並べてみると却って古物と古本と布を売ってる店であることが明確になったような気もします。有り難いことに連日多くのお客様にお越しいただいております。と書くと、非常に嘘くさい響きを帯びるわけですが、強ち嘘ではないあたり、逆光・教草ともども驚いております。ご来店お買上げの皆さまには感謝申し上げます。
 そうは言っても客足の途切れが長引いて、ヴィスコンティ的な頽廃した時間が流れることもあります。そんな時に唐突に発せられる「なぜ人間は一人一人こうも違う存在なのか」という教草さんからの謎めいた問い。ソクラテス的でもありハイデガー的でもあり相田みつを的でもあるこの疑問に答える術は、逆光店主にはありません。そのうち日が暮れて、薄闇が店内に入り込んでくれば一日の仕事は終了。無為と豊かさが渾然となった時間。これで本当に商いが成立しているのか、という新たに浮上する解けない謎。
 「点店」、教草・逆光は21日(日)まで開催です。会期中に展示替えや商品の追加もありますので、二度も三度もお運びいただけましたら幸いです。








2015年6月11日木曜日

永遠に終わらない

6/12(金)〜21(日)は3箇所4店舗を点と点でつなぐという
コンセプトのもと、涙ながらに企てられたイベント「点店」が
開催されます。皆さまのお運びをお待ちしております。


 本日は12日からの展示準備のためにお休みをいただきました。共同開催の教草さんも当店もイベント初心者のため、設営を始めてから8時間30分くらいは手さぐりのまま要領を得ず、布を広げたり丸めたり、手元の小皿を右に3ミリ動かしたりするだけで時間が過ぎていきました。太陽が沈んでからようやく本領を発揮したわけですが、実のところ何が本領なのかも分かっていないので、果たして準備が終わったのかそうでないのか、判然としないのでした。どこか2014年のワールドカップブラジル大会を思わせるような進捗といった感じでしょうか。とはいえ、それじゃまあこれで終わりってことで、と言えるくらいには準備ができておりますので、ちょっと覗きにいらしてください。










 

2015年6月8日月曜日

ハイリスクローリターン

12日(金)〜21日(日)は三箇所四店による合同企画「点店」が
開催されます。書肆逆光は会期中は無休です。
また、11日(木)に搬入休、22日(月)に搬出休をいただきます。
なにとぞご了承くださいませ。


 綱渡りどころではない、ほとんどサルティンバンコのような高難易度のパフォーマンスを要求される運営状態を脱却しようと、物憂げな六月の雨が上がった日曜日の朝、大江戸骨董市に出店するため、会場である有楽町東京国際フォーラムへと向かいました。とにかく現金が手元に無いと何もすることができないという貨幣経済の限界に八つ当たりしながら、現在当店にある中で、換金率の高そうなもの上位をトランクに詰め込んで出向いたのでした。
 浅知恵が功を奏したのか、荷解きする先から次々にお買上げいただくという、かつてない展開に一瞬スーザン・ボイルばりのサクセスストーリーが脳裏をよぎりましたが、べつに歌姫に憧れてるわけではないとすぐに我に返りました。とにかく、おかげさまでいくばくかの紙幣を手にすることができ、まずは安堵。お買上げ、ご覧くださった皆さま、ありがとうございました。
 さて、今週金曜日からついに「No CONCEPT」「MAREBITO」「書肆 逆光」「教草」による合同企画展示「点店」が始まります。ついに、と言ったって世界のほとんどの人がその存在を知らないでしょうが、それこそがまさに「点」たる所以というわけです。ふだんは意識にのぼらない点がつながって線となり、さらに面となり3次元代数多様体となって、世界中を網羅する一大ネットワークを構築するとかなんとか・・そんな趣旨ではなかった気がしますが、とにかく各店やる気に満ち満ちているはずですので、きっとおもしろいものが並ぶことでしょう。
 というわけで、どうぞよろしくお願い致します!


白磁丸壺 SOLD OUT デルフトクリーム容器 SOLD OUT
古伊万里白磁猪口 SOLD OUT 白磁パレット各種 左二つSOLD











 
 

2015年6月1日月曜日

水無月だョ!全員・・

4日(木)は仕入のため15時頃の開店となります。
5日(金)は仕入と所用のため営業時間は13時〜18時半です。
なにとぞご了承くださいませ。

7日(日)は東京国際フォーラムの大江戸骨董市に出店いたします。
皆さまのお越しをお待ちしております。

そして12日(金)〜21日(日)には、中央区所在の古道具屋が満を持して
放つ展示企画「点店」が開催されます。当店は日本の染織品を主に
扱う教草(おしえぐさ)さんとの共同展示です。
教草・逆光とも、枯れ果てて流す涙もないほど仕入に邁進しておりますので、
どうぞよろしくお願い致します。


 松方弘樹が釣り上げたマグロは「すしざんまい」が落札か・・と、誰もいない店であえて声に出して呟きたくなる、6月はそんな季節なのかもしれません。
 さて、先日の土曜日に開催された「第3回 詩について 対話篇」で頂きもののウイスキーを詩人たちに提供したところ、意外にもみんなガブガブ飲むのには驚きました。詩と酒なんて紋切型の組み合せは、現代詩という先鋭的な表現を生きる者にとっては、忌避すべきことなのかと思いきや、割とふつうに飲んでました。かといって、別にヴェルレーヌ風のデカダンな雰囲気に包まれることもなく、ごく淡々と会は進行。そんな中で、今回は恐るべき傑作詩が持ち込まれました。著作権を尊重してここにアップはしませんが、詩を実作している人は、必読の一篇です。
 詩人が言葉を見つけるように、弘樹がマグロを釣り上げるように、古物業者は物を探してこなければなりません。そうして集められた物が店に並んだときは、多少調子っぱずれでも詩のようになっていてほしいものです。
 というわけで、今週もよろしくお願い致します。


鉄琴

服を着たネズミが二本足で立つという
 斬新なキャラクターが鍵盤に線刻されて
います。             

       SOLD OUT