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2019年7月29日月曜日

逃走線について

 ドゥルーズとガタリが『千のプラトー』で唱えた"逃走線"には、"逃げる"の他に"漏れる"という意味も含まれているそうで、それを聞くと、むしろそっちの方が言外に仄かに強く作用しそうな気がします。
 などと言い出すのは、最近自宅の団地の部屋が、上層階の配水管の劣化によって水漏れしたことからの連想です。コンクリートの固まりから漏れた水がひたひたと浸み出てくる様は、固着した概念から何かが漏れていき逃走線の軌跡を描くことに対応しているように思えます。事実、その漏出現象によって居場所がなくなり、退避物件に逃走を余儀なくされたわけですから。そこで否応なしに新たな生活を送るというのも得難い経験ではあります。退避部屋には一応冷蔵庫が備え付けてあるのですが、どうも冷凍機能がままならず、入れておいたロッテのスイカバーが液体になっていました。新しい生活はいつだって厳しい。それはランボーが『地獄の季節』でも謳っています。
 そういうわけで、補修工事立ち会いのため、予定としては8月1日(木)までお店はお休みをいただきます。品物はインスタグラムでもご紹介しております。ぜひご覧ください→👃ところで、このインスタグラムというのも、先行の大きな固まりから漏れ出てきたメディアツールだと思うのですが、ややもすればすでに固まりはじめているような気もします。思えば店舗販売という概念からヤフオクやfufufufuのようなネット販売という何かが漏れてきたわけです。店があってネットがあって骨董市があって市場があってイベントがある。そんな固まった風景から漏れ出したものが、どういう線を引いてどういう風景を形づくるのか、それを見極めるのが零細業者の宿命です。一種の中長期計画ですね。どうかよろしくお願い致します。


1979年の全日本プロレスエキサイトシリーズの
ポスターですが、今回の件には何の関係もありません。
本棚の上に放ってありましたが、水濡れ被害を受ける
ことなく無事です。中学生の頃、池袋のプロレスショップで
なけなしの小遣いをはたいて買ったものです。

これも関係なし。三井記念美術館で開催中の展示の図録。
楽しい展示会です。最初の埴輪で度肝を抜かれますよね。

榎本櫻湖『Lontano』 七月堂 2018年9月30日発行
もちろんこれも関係ないのですが、なんとなく関係ありそう
に思えてくる不穏さがうっすらと漂う詩集です。