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2018年6月12日火曜日

光と影、炒飯と焼売

 横浜中華街「1010美術」で開催中の『松井寛泰 展』に行ってきました。JR石川町駅の北口を出ると、左手にすぐ西陽門という大きな門が見えますが、ここはまだ中華街ではなく、道なりに歩いて首都高の下をくぐってぶつかった交差点に聳える門が延平門で、これが中華街の西側を守る牌楼です。門柱の上に白虎が象られています。そこから真っ直ぐ二区画目、左手に見える帽子屋さんの脇を入ってエレベーターで3Fへ行ってください。小さくて白くてきれいなギャラリーが1010美術です。昨年の11月に弊店で催した松井さんの展示をオーナーの倉科さんが見にきてくださり、今回の展示会へとつながりました。

 さて早く着きすぎたので、せっかくの中華街、何か旨いものでも喰わなくては、と思うものの、選択肢が多すぎて選べないのは毎度のこと。決定回避の法則と云うそうですね。で、結局は江戸清あたりの豚まんを歩き食いしてお茶を濁すという。なので今回は不本意ながらサイトで下調べしておきました。そして候補に挙ったのが池波正太郎もエッセイに紹介したという清風楼です。困ったときの正太郎頼みもいかがなものかと思いつつ、結局そこに決定。ギャラリーからも近いので、中華街を無駄に歩き廻らずに済みます。飾り気の無いさっぱりとした店構え。さっぱりしすぎて営業してないのかと思ったぐらいです。注文は迷わずチャーハンとシウマイ。寸分違わず旨い、チャーハン界のグリニッジ天文台といった感じです。迷った時にはおすすめです。

 そして松井さんの展示です。今回は弊店で展示した「Labyrinth」シリーズからのチョイスに加えて新作「Single Slit Experiment」2点を見ることができます。「Labyrinth」もウチでは並べなかった作品が何点か掛かっています。新作はレンズの代わりにスリットを入れたキャップみたいのを取り付けて風景を撮るシリーズ。実景が縦長に伸びて、具象と抽象の分岐点みたいな図像に映ります。「Labyrinth」がスタジオ撮影だとすれば、新作はロケーションハンティング。外での撮影なので、絵面は偶然に左右されるところが大きくなりますが、ノイズの作用と超絶技巧によるプリントの美しさの拮抗が、とんでもなくカッコいい作品です。6/17(日)まで。水曜は休廊。11:30〜18:30。松井さんの在廊は土日です。聞けば、包み隠さず何でも教えてくれます。雲の上の存在になる前にぜひ。


フリッツ・ラングやムルナウのスチール写真のような
幻想性と確固たる技術の融合           

中華街の西に鎮座する白虎の門


よもやこんな場所にギャラリーが!?と思ってしまいますが

東京タワーの売店とか仲見世商店街を彷彿とさせます

勇気を出して奥へ

清風楼です ミニマルな店構え

溢れんばかり、というかすでに溢れているチャーハン

シウマイです 濃厚です




引き合いが増えてこれから忙しくなっていくようです



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