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2019年9月5日木曜日

煉獄ララバイ

 この夏はと云えば、梅雨がやたらと長くて雨は止まないし、明けたらむやみに暑いし、真夜中に天井から水が漏ってくるし、残暑もしつこく燻っているし、壮大な厄落としの渦中にでもいる気分です。ここはひとつ何か善き物を見て視覚情報をインプットすることで、引き寄せの法則的な何かが発動しやしないだろうかとの思惑を携えて、サントリー美術館で始まったばかりの『黄瀬戸 瀬戸黒 志野 織部--美濃の茶陶』を見てきました。
 まさしく名品オールスターの趣き。こんなもの下取りを依頼されたら、いくら用意しておけばいいんだ!とか考えてると無駄に疲れるので、素直に見て廻った方がいいと思いました。この美術館のゆったりとした空間構成と美濃古陶の瀟洒な感じが合っていて、はじめこそ優雅な気持ちに浸れるのですが、そのうち、どれか一個くれるって言われたら何を持って帰る?という一人問答が心の中でどうしても始まってしまい、意味の無い皮算用が強迫観念のごとく脳内に渦巻いて、結局無駄に疲れてしまいました。桃山茶陶のような作為を押し出してくる古物は縁遠いと思っていましたが、そろそろ勇気を出さなければいけない時が来た!と勝手に思ったのでした。
 美術館を出ると加賀麩の茶寮?があって、腹が減ったから何でもいいやと思って入ろうとしたのですが、麩なんか食べて腹いっぱいになるのかという疑問がよぎったので止めにして、隣りのリッツカールトンのレストランにでも行ってみるかと思いつつ、案内を見たら場所が45階なので、そんな高層階でものを食う身分でもないしな、と妙に謙虚な気分になったので、八丁堀に戻って「串八丁」の唐揚げ膳を食べました。お客さんに教えていただいた店で、かなり旨い部類に入ると思うのでオススメです。逆光⇄串八丁のコースを頭に入れておいてください。
 さて、すでに長月。一年はここからが早いもの。気持ちの上ではもはや師走です。もう冬ですね。ご来店をお待ちしております。



「串八丁」。名店です。
店内。何か気掛かりな物が写り込んでいたら、
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