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駄文を弄すると言いますが、このブログがひとつの典型でしょう。伝えたいことが溢れ出てしかたがない天性の表現者ならばともかく、ページを埋める苦労だけがにじみ出た文章を綴って公開するとは、どういう因果でしょうか。なにか思いついて、頭の中ではいい感じに言葉が連なっていくのに、原稿用紙やパソコンに書いたとたん、思いついた時の高揚というかリズムがなくなってしまって、そしたらあとはもう言葉に振り回されるだけです。言葉にもてあそばれている感じですね。
言葉のそういうわがままなところ、言葉があっちこっちに転がり回って制御不能になる、そういう言葉そのものが主人公の小説があります。というか、もはや小説なのかも分かりません。ジェイムズ・ジョイスの『フィネガンズ・ウェイク』です。この作品では、言葉がお話を伝える道具であることを止めて、紙面上で誰が何をしてどういう事態が起きているのか伝達することを放棄しています。わけも分からず、字面を追うだけ。不眠症を患い永遠に読み続けよ、とジョイスは言いました。
『フィネガン徹夜祭』ジェイムズ・ジョイス 鈴木幸夫・野中涼・紺野耕一・藤井かよ 永坂田津子・柳瀬尚紀訳 堀内誠一装幀 都市出版社 1971年12月25日初版 函背少傷 帯 2,200円 |
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