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2014年10月14日火曜日

牛と白磁

10/17(金)は古物商等署別法令講習会というのがありまして、
店を開けられるのが16時頃になりそうです。
遅い開店時間ではありますが、夕暮れどきの界隈散策の途中に
お立ち寄りいただければ幸いです。

 根津美術館で開催中の「名画を切り、名器を継ぐ」展を見てきました。柏木貨一郎旧蔵の駿牛図が出ていることをお客様から聞き及び、それならば眼の玉に焼き付けておかなければいけない、と思い立ち駆けつけた次第です。
 貴族の乗る牛車を牽く牛のなかでも特別に姿形の美しい名牛は、『駿牛絵詞』などにまで描かれる存在だったとのこと。いま目にすることのできる駿牛図は、一図ずつに離された断簡です。柏木旧蔵の駿牛図は素晴らしいもので、手の平で叩いたらビタビタとした感触が伝わってきそうな黒毛和牛の筋肉の張りを墨の濃淡だけで表現しています。あまり声高に物欲を表明するのははしたないので、カヒミ・カリィぐらいの声量で「ちょー欲しい」と呟いて我慢しておくことにしました。
 志賀直哉から上司海雲に渡った東洋陶磁の李朝白磁の壺も初見でした。入口からもう紗幕越しに見えていて、なんかすごいものがあるなという感じでしたが、順路の最後に鎮座していたのが、その白磁壺でした。盗んででも手にしたいものですが、実際いち度盗まれかけて粉々になってるわけですから、もう止めておいた方がいいでしょう。泥棒は荒縄かなんかで縛って担いで盗っていこうとしたのでしょうか。前抱えで走っては、体のバランスが保てないと思います。どこか運動イメージを想起させずにはおかない形の壺だと思いました。
 それにしても、昔の人の名品名画名筆を切断して、コラージュ、トリミングしてしまう大胆さには驚きますね。その場にいたら「もったいないからやめなさいよ!」と叫んでしまうと思います。美への飽くなき探求というよりは、とどまることのない業の深さに当てられますが、そういう生々しい感じを受けるのも本物を前にしてこそでしょう。
というわけで、今週もよろしくお願い致します。



『白樺 第三巻第八号』
大正元年8月1日 表紙デザイン 有島壬生馬
柳宗悦、木下利玄、武者小路実篤
最終頁角破れ有り
700円

 
 
 
『車のはなし』
モウド・ピーターシャム、ミスカ・ピーターシャム共著
廣島図書 1949年12月1日
2,000円



 



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