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2014年10月15日水曜日

返り咲くこと

10/17(金)は所用により16時頃の開店です。
10/18(土)は仕入のため13時の開店です。
ご了承くださいませ。

 二度書き、二度窯、二度あることは三度ある・・、「二度」の付く言い回しには良いものがなさそうですが、二度咲きはどうでしょう。9月の終わり頃には噎せ返るほど辺りを満たしていた金木犀の匂いも、徐々に薄くなってきて寂しいなあと感じていたら、また最近そこらで匂うようになりました。萎んで小さくなってた花がまた咲いたのか、残っていた蕾が開いたのかは分かりませんが、明らかに二度目の開花です。
 ネットで調べてみると、金木犀の二度咲きというのはよくあることのようです。ただ普通二度咲きというと、春に咲いて秋にまた咲くような、いわゆる返り咲きのことをいうのかと思っていましたが、いろいろあるものなんですね。
 返り咲きで思い出すのが、ジャイアント馬場とハーリー・レイスのNWA争奪戦。佐賀スポーツセンターで、馬場のすごいランニングネックブリーカーが決まってレイスからベルトを奪取。が、その6日後の大津市大会の初防衛戦で、馬場は何を思ったのか、リング上に倒れたレイス向かってコーナーポストに上って技を仕掛けようとします。ふだん飛び道具なんか見せない馬場がいったいどうするつもりなのかドキドキしていたら、起き上がったレイスに片足を引っ張られ、ポストに股間を直撃、もんどり打ってリング内に落ちてきたところを片エビに取られて、あっさりスリーカウント。「ハーリー・レイス返り咲き」の倉持アナの実況の声とともに、人生のままならなさを子供心に知ったのでした。
 そんなわけで、返り咲きの金木犀が匂うたびに、馬場の悶絶顔とレイスのひげ面を思い出します。




左から                       
『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』      
増田俊也 新潮社 2011年11月30日11刷        
1,300円
『プロレス血風録』                  
田鶴浜弘 双葉社 1968年11月15日初版        
1,200円
『鉄人ルー・テーズ自伝』               
流智美訳 ベースボール・マガジン社 1995年3月3日初版
1,000円



 

2014年10月14日火曜日

牛と白磁

10/17(金)は古物商等署別法令講習会というのがありまして、
店を開けられるのが16時頃になりそうです。
遅い開店時間ではありますが、夕暮れどきの界隈散策の途中に
お立ち寄りいただければ幸いです。

 根津美術館で開催中の「名画を切り、名器を継ぐ」展を見てきました。柏木貨一郎旧蔵の駿牛図が出ていることをお客様から聞き及び、それならば眼の玉に焼き付けておかなければいけない、と思い立ち駆けつけた次第です。
 貴族の乗る牛車を牽く牛のなかでも特別に姿形の美しい名牛は、『駿牛絵詞』などにまで描かれる存在だったとのこと。いま目にすることのできる駿牛図は、一図ずつに離された断簡です。柏木旧蔵の駿牛図は素晴らしいもので、手の平で叩いたらビタビタとした感触が伝わってきそうな黒毛和牛の筋肉の張りを墨の濃淡だけで表現しています。あまり声高に物欲を表明するのははしたないので、カヒミ・カリィぐらいの声量で「ちょー欲しい」と呟いて我慢しておくことにしました。
 志賀直哉から上司海雲に渡った東洋陶磁の李朝白磁の壺も初見でした。入口からもう紗幕越しに見えていて、なんかすごいものがあるなという感じでしたが、順路の最後に鎮座していたのが、その白磁壺でした。盗んででも手にしたいものですが、実際いち度盗まれかけて粉々になってるわけですから、もう止めておいた方がいいでしょう。泥棒は荒縄かなんかで縛って担いで盗っていこうとしたのでしょうか。前抱えで走っては、体のバランスが保てないと思います。どこか運動イメージを想起させずにはおかない形の壺だと思いました。
 それにしても、昔の人の名品名画名筆を切断して、コラージュ、トリミングしてしまう大胆さには驚きますね。その場にいたら「もったいないからやめなさいよ!」と叫んでしまうと思います。美への飽くなき探求というよりは、とどまることのない業の深さに当てられますが、そういう生々しい感じを受けるのも本物を前にしてこそでしょう。
というわけで、今週もよろしくお願い致します。



『白樺 第三巻第八号』
大正元年8月1日 表紙デザイン 有島壬生馬
柳宗悦、木下利玄、武者小路実篤
最終頁角破れ有り
700円

 
 
 
『車のはなし』
モウド・ピーターシャム、ミスカ・ピーターシャム共著
廣島図書 1949年12月1日
2,000円



 



2014年10月11日土曜日

紙片及び詩篇

 仕入と買取で少し本が増えて、店が古本屋みたいになってきました。生業が古本屋ですから、そのこと自体は実に申し分のない話ですが、競り落としたものの中に時おり混じっている謎の紙片の扱いに頭を悩ませています。と言うわりには、そこらへんに放ったままにしてありますが、これらが日の目を見るときは来るのでしょうか。
 たとえば、吉祥寺にある時計店のチラシ。期間中百圓以上の買上げで抽選ができるとのことで、当選した暁には、買上げ金額全額が返金されるという魅惑的な文言が紙面に踊っています。薄紙のペラ1枚に赤一色で刷られて、端っこがちぎれて折りジワがくっきり残っています。状態から推察するに、特に大事にされてはいなかったようですが、廃棄までには至らなかった。その理由を探るために名探偵コナン気分になるのも一興ですが、それでたったひとつの真実を見抜けるかは定かではありません。
 「北京のどぶ」と書かれた小さなフライヤー。一橋大学演劇研究部と女子美術大学演劇部の名が表記されているので、共同企画による芝居の宣伝なのでしょう。新書サイズの水色の紙を二つ折りにしているので、文庫本より小さいサイズです。中にはアジテーションめいた文言。裏に記された場所と日時の案内には、都電高円寺一丁目下車とあり、時代特定の大きなヒントになります。
 その他、有線放送電話機の使い方だとか蚕糸の光一月号付録だとか、なぜこの世に残ったのかよく分からないものが結構あるのです。そこに書かれた言葉は、もちろん容易に読解可能な情報を伝えているのですが、徐々に意味が剥落して詩に近づいているようにも見えてきます。

上左から「協和堂時計店チラシ」「日立製作所 有線放送電話機の使い方」
「立体版画の技法」立体版画普及会発行       
下左から 「最新桑園経営年中行事」「北京のどぶフライヤー」「千代紙?」

2014年10月7日火曜日

鼻と夢

10/9(木)は仕入のため14時頃の開店予定です。
10(金)・13(月)も仕入で13時の開店です。
どうぞよろしくお願い致します。

 台風一過で秋空がいっそうグンと高くなりました。このままどこかに走り出したくなる気持ちよさですが、特にどこといって行くあてもないし、割とまだ気温が高くてすぐに疲れてしまいそうなので、自分の店に行くことにしました。仕事なので当たり前の話ですが。
 今どき一人で小商いをやるとすれば、店舗を持たず、まずはネット販売を主軸にして、そこから探りを入れながら徐々に手広くしていくのが、選択としては賢明なのかもしれません。金もコネもないくせに店を出そうなんて、とんだ間抜け野郎だぜと笑われても仕方ない時勢に、頓痴気な反時代的愚挙に打って出るというのは、底抜けに楽観的なのか、少しばかり自己愛が強いのか。
 ただいずれにしろ実店舗を持って楽しいのは、人が来てくれるということです。今日も窓から青空を見上げていたら、茅場町の活版屋の杉田さんが、中村活字さんから聞いたと言って、不意に訪ねてきてくださいました。この道六十数年の活版業界の伝説の人です。で、八丁堀界隈の地誌に始まって、鴻巣人形、東秩父、深沢七郎、満州引き揚げ、永井荷風、岐阜県八百津町、小林秀雄など、誰かからの聞きかじりではなくて、全て杉田さん自身の体験談を話してくださる。こんなの聞いたら、1万2千円ぐらいは払わないといけない気分になります。ちょっと手元になかったので黙っていましたが、本来であれば日本橋公会堂あたりに聴衆を集めて聞く話でしょう。
 と、こんな調子で鼻高々になって夢見ていられるのだから、暢気と言えば暢気な商売です。今週もよろしくお願い致します。


 
 
 
北向きですが、晴天の日中はやわらかに自然光が射し込んで、割と明るいです。
なにか気になるものが写り込んでいましたら、お気軽にご連絡ください。   

2014年10月4日土曜日

颱風が來るから

出店を予定しておりました明日10/5(日)の大江戸骨董市は台風接近による天候不順のため、中止となりました。
1989年に西武球場で行なわれた渡辺美里のコンサートのように、豪雨の中をひとり敢行ということも考えたのですが、①主催者に迷惑をかける②そもそも誰も来ない、という点を鑑みて素直に中止いたします。
当店の次回出店予定は11月2日です。よろしくお願いいたします。

 さて、明日の骨董市でひと財産稼ごうと自分なりに綿密な月次対策を練っていたのに、天候与件により計画は脆くも瓦解。もとよりザルのような皮算用だったので、この後の補填策は一切考えておらず、今月をどう生き延びるか、ひりひりとした緊張感が一気に高まってきました。という割には、店主は店で間抜け面で座り込んでいるだけなのですが、実は壮大な経営計画が脳内では展開されていて、壮大すぎてどうしていいか分からず、端からはぼんやりして見えるのです。過ぎたるは猶及ばざるが如しというやつでしょうか。もっと身の丈に合わせた店舗運営を実行していかないといけませんね。ますく堂の増田さんなんかは、経営計画?そんなの糞食らえでしょ、という感じの鷹揚さがあるので、見習いたいところです。
 天変地異災害が多い昨今です。週末週明けにかけてはどうぞ気をつけてお過ごしくださいませ。

『少年』
北杜夫 中央公論社
1980年4月5日22版 帯 ビニールカバー

事がうまく運ばない時には、なぜか北杜夫が
読みたくなります。抒情とユーモアの中編。
SOLD OUT











 
 
 

2014年10月3日金曜日

リーマン予想

10/4(土)は仕入のため14時頃の開店となります。
ご了承くださいませ。
10/5(日)は有楽町東京国際フォーラムで開催される大江戸骨董市に出店いたします。今のところ怪しい雲行きですが、それに負けないくらい怪しいものを用意したいと思っております。

 八丁堀茅場町界隈のランチを求めるサラリーマンたちの喧噪を、そのままウチの店にも反映させることができたら、それなりに財を成すことができるのではなかろうかと妄想することがありますが、短い休憩時間をわざわざ費やしてもらうに足る逸品があるわけでもないので、やはりそれは妄想に過ぎないのかもしれません。
 逆境転じて好機と成すというようなプロジェクトX的才能が圧倒的に欠如しているので、機を見て敏に動けないのが、我ながらもどかしいところです。まずは失敗を前提として、いろいろ挑戦するべきなのでしょう。
 考えてみたのは、惣菜屋さんとのコラボレーション。サンドウィッチのどれかひとつに池波正太郎の文庫本が挟まっているとか、チキン南蛮弁当の付け合わせの卵焼きが、よく見ると黄瀬戸の陶片だったとか、おにぎりの海苔にロレンス・ダレルの黒い本のカバーを使うとか、ろくでもないとは言え、いくつかアイデアはあるのです。お弁当で提供できるほどの黄瀬戸が集まるのかという問題もありますが、どうなんでしょう。やらずに後悔するよりやって後悔しろとは言いますが、やらずに済むならそれに越したことはないこともあるはずです。





『円と楕円の世界』
後藤明生 河出書房新社 
1972年11月15日初版 帯少破れ
2,500円

「PとT、1 2 3 4 Aと刻印されたダイス」
アメリカ製のボードゲームのダイスだそうですが、
詳しいことは分かりません。ご教示願います。  
SOLD OUT


2014年10月2日木曜日

不当廉売の疑い

10/4(土)は仕入のため開店時間は14時頃となります。
なにとぞご了承くださいませ。
10/5(日)は有楽町の東京国際フォーラムで開催される大江戸骨董市に出店いたします。
天気は不穏な方向に傾きつつありますが、晴天を祈りながら、楽しいと思っていただけそうなものを準備中です。

 トマス・ピンチョンの『重力の虹』上・下がついに刊行されました。新潮社の「トマス・ピンチョン全小説」の当初予定されていたシリーズの最終配本です。全国有力書店店頭にて平積みされているのを見ることができるかと思いますが、版元や取次の配本パターン等ののっぴきならない事情もありますから、在庫がないからといって、ただちにその書店が無力であるという証左にはなりません。追って入荷があるか、その気配がなければ注文しておくことをオススメいたします。
 価格は上・下巻で税込9,072円。この値段で味の良いそば猪口などを見つけるのは、かなり至難であると思うので、ピンチョンのこの翻訳本は不当に安いと言わざるを得ないでしょう。初期の手の猪口が3〜5万ぐらいとすれば、『重力の虹』には13万8千円ぐらい付けてもおかしくありません。そば猪口とピンチョンを比べるのは、少しおかしいですが。なにしろ、13万8千円出さなくてもこの途方もない小説が読めるというのは、斜陽と言われている業界の出来事とは思えないぐらいに度外れて恵まれた事態です。ちょっとしたお祭り気分かと思いきや、今のところ誰かの口からピンチョンという固有名詞が発せられたところを耳にしていません。不思議です。

ジャンクや見捨てられたものへの偏愛が満載の小説『重力の虹』上・下

前列左から 鍛鉄の釘 江戸時代、ハーモニカの中身 SOLD OUT アルミ箱 SOLD OUT 
          アメリカ製クリップ SOLD OUT、ドイツ製吊るし秤 SOLD OUT 白磁のおろし金 SOLD OUT       
中列左から 火熨斗、缶ケース2つ、ノルウェー製スキーのワックス缶 SOLD OUT      
                         歯の治療器具(印象材トレイ)、中国製雀牌型トランプ SOLD OUT ライター、繭皿 SOLD OUT
 カードスタンド                     
     後列左から アルミ水筒 SOLD OUT 実験用三脚 SOLD OUT 『重力の虹』、リール SOLD OUT 焼いた煎餅を置く網 SOLD OUT