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2014年11月6日木曜日

沙翁装丁本

11/7(金)・8(土)は仕入のため14時の開店です。
よろしくお願い致します。

 練馬区立美術館で開催中の「見つめて、シェイクスピア!美しき装丁本と絵で見る愛の世界」展を見てきました。招待券をいただいた縁で見に行ったですが、かなり見所の多い展示でした。建物は西武池袋線中村橋駅からほど近い場所にあり、1階が図書館で2階が美術館という造りです。エントランスの広場には背の高いケヤキが植わっていて、間隔を広く取ったベンチの据え付けてある雰囲気が、いかにも公営という感じがして、わけもなく鷹揚な気分になったりします。どこかの保育所の1歳ぐらいの小さい人たちが、保育士さんに連れられて散歩の途中なのか、階段の踊り場で立ったり座ったり転がったりしていました。
 入ってすぐの展示室には、世界のブックデザイナーたちが手がけたシェイクスピアをモチーフにした装丁本が約80点。意匠を凝らした出来に見入ってしまう上に、今の世にこれほど装丁家がいることにも驚きます。数千、数万単位で造本される出版流通に慣れた目には、世界にこれ1点、という本の扱い方は不思議なものに見えます。ここは、技術的複製可能性を出来る限り反復不可の一回性に転倒させようと試みる者たちの作品が集まる反時代的空間です。こんなのが市場に出た日には、いくら声を出せばいいのだろうかと不埒なことを思いながら見ていました。
 それにしても、文字をデータ化することに躍起になってる人もいれば、堅固な物質性に閉じ込めずにはいられない人もいるという現代。本が売れないなどというのは、こういう過激な過渡期における副次的な経済現象に過ぎないと思えてきます。とは言え、本が売れないと路頭に迷いかねない人もいるので(ウチですね)、なにとぞ身銭を切っていただきますよう。


練馬区立美術館

『本の美しさを求めて』 関川左木夫
昭和出版 1979年2月15日初版
函 帯 署名入
 
2,500円







 

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