古物売買の現場は、まさに価値捏造のドキュメンタリーの趣があります。千円で仕入れたものに百万円の値を付けて売ることもできるわけです。とは言え古物業を営んでいれば、なんとなく相場観というものがまとわりついてきますから、あまり度外れた値段を付けると、何も言われてないのに居たたまれない気分になったりするものです。そこに何がしかの価値を付与することで、商品の価格を吊り上げるわけですが、そのステータスとなるものは、店の雰囲気であったり店主の人品であったりします。そこで「美は信用であるか」という例のテーゼが頭を擡げてくるわけですが、そんなことは知ったことではない、と言わんばかりなのが、この展示のなかなか痛快なところです。名の知れたアーティストによる出店というのは事前には告知されず、ごく秘密の裡に実行されたということですが、どことなくセットアップのようで胡散臭いのも、面白さに拍車をかけています
「追悼のざわめき」 土器、鉄、セルロイド、写真、麻布 1,200,000円 |
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