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2016年9月12日月曜日

漆工礼讃

14(水) 展示会宣伝活動のため15時頃の開店です。
15(木) 同じく宣伝活動に廻ります。15時頃の開店になります。
16(金) 仕入のため14時からの開店です。
17(土) 仕入に行ってきます。14時開店です。
18(日) 有楽町東京国際フォーラムの大江戸骨董市に出店いたします。
25(日) 2週続けて大江戸骨董市に出店です。

29(木)・30(金) 展示会準備のためお休みです。
10/1(土)〜12(水) 小野寺公夫の仕事『漆工礼讃』開催。


 神無月に入ると同時に、当店では小野寺公夫の個展が始まります。片隅の古物屋で小野寺公夫の展示を催すとは、さながら場末のブティックでエルメスのプレタポルテコレクションをパリに先駆けて発表するような趣きがあります。などと言っても、小野寺公夫の名が関東以西でさほど知られていない昨今では、こんな喩えは意味を成しませんが。
 小野寺さんも積極的な売り込みはしていないのか、展示会は年1回の仙台市内の限られたギャラリーでのみ。都内に出てくることはまずあり得ず、安定的に作品を購入できる店もよく分かりません。べつにトマス・ピンチョンのように、戦略的に作者の存在を零度に近づけているわけではないでしょうが、どうも人ごみの多い都会に馴染めないようで、それを聞けば、つげ義春のスタンスに近いと言えそうです。ピンチョンとつげは共に1937年生まれ。小野寺さんは1943年生まれです。だから何だと言うこともないのですが、ついでに言えば、同じ1943年生まれにジャニス・ジョプリンがいます。
 ジャニスがビッグブラザー&ザ・ホールディング・カンパニーのボーカルとして、モントレー・ポップ・フェスティバルに出演した1967年、小野寺さんは木曽の手塚万右衛門の工房にいました。ピンチョンは『競売ナンバー49の叫び』を書き上げ、つげ義春にとっては『ねじ式』前夜、『李さん一家』や『紅い花』を発表した年です。この4人が実は見えない線でつながっていた・・ということはなく、ただ世界にはいろんな才能や因果を抱えた人が、いろんなことをしているなーという話です。
 さて、従来の小野寺さんの展示だと、椀や皿など日常使いの品が並ぶことが多いのですが、今回はそれらに加えて李朝膳や手力盆などの、古い物から着想を得た作品も出してもらいます。ふだん小野寺さんの作品を買っている人にとっては、見慣れない品物を見ることになると思います。初めて小野寺さんの漆器に接する人にとっては、いきなり全仕事と言ってもいいぐらいの充実した作品群を目の当たりにすることになるはずです。
 実際、小野寺公夫の塗りのひと刷毛は、ピンチョンのセンテンス、つげ義春の線、ジャニスの叫びのように世界を震わせる力を秘めていると思っています。これだけの小野寺作品が一堂に並ぶというのは、ひとつの事件でしょう。ぜひその目撃者となるべく、万障繰り合わせの上、逆光へと駆けつけてください。

かなりカッコいいと言ってもよいこのDMは、
鎌田充浩さんのデザイン。         

写真は高橋マナミさん。小野寺さんの朱の艶やかさが
見事に再現されています。            

手に取って摑めそうなぐらいの生々しさ。
小野寺公夫ファンでもほとんど目にしたことが
ないはずの李朝膳。            


 


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