現代美術シーンを縦断(もしくは横断)する驚愕のステッチワークを
見にいらしてください。
晴れ続きだった天気が小糠雨になり、いつしか霙まじりの霧雨に変わったのは、何か途方もない出来事が起こる前兆なのではないか、と外を見ながら夢から醒めきらない頭で考える。日付は1月30日。だとしたら、今日は呪詛と祝福を高らかに歌い上げる日。というわけで、ついに幕を切って落したうつわノートさんの展示『衝撃の美〜Alternative Value』に行ってまいりました。
東武東上線川越市駅からすたすたと歩いて喜多院まで辿り着き、山門を抜けて急カーブの道路を渡り、日枝神社を横目にやり過ごして、奇怪なちびまる子ちゃんのような看板が立てかけられた角を曲がると、見えてくる白亜の邸宅。そこが会場のギャラリーうつわノートです。扉が結界になっていて、開けた途端に広がるもう一つの世界。もはや工芸文化を発信する瀟洒なギャラリーの面影は鳴りを潜め、ケ・ブランリー美術館川越分館といった趣き。願わくはこれを並べて平地人を戦慄せしめよと言わんばかりの、怖るべき物の数々。物が放つ情念のせいか、撮った写真はすべて異様なハレーションを起こして使い物になりません。というのはウソで、雰囲気に気圧されて撮るのを忘れてました。なので皆さま、ぜひ川越まで足を運び現物を目撃してください。古物、現代美術合わせて、アートシーンにおける現時点での最先端の発信地は川越です。
今回最も驚かされたのは、「菩薩パウダー」と称された展示物。一体どこの地域にこのようなものを信仰する風習があるのかと訝しく思いましたが、聞けば年月による劣化で粉々になった塑像を集めて瓶に入れたのだとのこと。そして隣りにはジャコメッティの彫刻のようなその菩薩像の骨組み・・。デュシャンの便器から約100年、前人未到のコンセプチュアルアートへの挑戦なのか、単なるもったいない精神の発露なのか。おそらくどこの美術館も古美術商も扱ったことのない代物。まさに衝撃の美。
美が慣習的、制度的なものであるとすれば、その枠組みを外側から崩壊させてみたいという衝動。目筋の良さというものが、せいぜい他人の欲望の先取りにしか過ぎないのであれば、いっそ誰も追いつけない場所から物を見つけてきたいという情動。謎めいたパッションに憑かれた4人の古物業者が集めた物にぜひ対峙してください。
エウェ族の祖先像 |
喜多院 泥棒橋側入口 |
喜多院山門 |
日枝神社 |
ギャラリーうつわノート |
こんばんは。
返信削除祖先像の右奥にいるのは土器でしょうか?
できましたら、下記のアドレスまで詳細を送っていただきたいです、、
kobutu10101010@gmail.com
よろしくお願いいたします。
小野田
小野田様
削除お問合せありがとうございます。
詳細をメールいたしましたので、ご覧くださいませ。