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2014年11月12日水曜日

コントラスト

11/13(木)は仕入のため14時半頃の開店になります。
11/15(土)も仕入です。14時に開店いたします。
11/16(日)は有楽町東京国際フォーラムで開催される
大江戸骨董市に出店いたします。
皆さまのお運びをお待ちしております。

 六本木・白金のロンドンギャラリーで2カ所同時開催中の「仏教美術のよろこび」展を六本木の方だけ見てきました。逸品・名品・絶品と呼ばれ得るものが平然と陳列されていて、もはや眼にとって保養なのか毒なのか分からなくなりました。眼福という言葉では生ぬるいので、この状況を言い表すに足る造語を、文部科学省かどこかの民間団体が募集すればいいと思いましたが、展示は今月29日までですので今からでは間に合わないでしょう。
 例によって欲しいものはいくつかあったのですが、古美術商が展示するものですから、相応の対価を支払えば手にできる可能性はなくもないわけです。そこが博物館・美術館と違うところ。だからと言って、3千万円持って出かけてこれ下さいと言えば、少々お待ち下さいと包んで渡してくれるとも思えないので、商談に至るまでのこちらの知り得ないステップがあるのでしょう。
 六本木から八丁堀までは日比谷線で一本。凄いものを見た後は、当店にて小休止を。満漢全席の後の梅茶漬けといった感じでしょうか。




アルミの水筒 高さ15.5巾9厚さ5.3センチ
SOLD OUT
アルミの箱 縦10.7横7.5高さ2センチ  
SOLD OUT




 

 

2014年11月10日月曜日

ポンヌフの変人

11/13(木)・15(土)は仕入のため14時から開店いたします。
11/16(日)は有楽町東京国際フォーラムで開催される
大江戸骨董市に出店いたします。
皆さまのお越しをお待ちしております。

 初冬の晴天の下、店を開ける前に新橋のSL広場前で今日から開催されている古本市をのぞいてきました。SLと古本と青空・・過剰なまでに叙情的な道具立てが物悲しさを誘い、にじむ涙で物色に集中できませんでした。というのはもちろん嘘で、相当にあさましい風情で掘出し物はないかと本の山の間を右往左往。3冊ほど手にしたところで、空腹と時間切れにより離脱。新橋古本まつりは11/15(土)まで開催です。
 せっかくの新橋、それらしきランチを食してから店に行こうと、レトロな駅ビル内を彷徨っていると、名高い「カフェテラス ポンヌフ」が目に入りました。今にもドニ・ラヴァンとジュリエット・ビノシュが飛び出してきそうな店構え。ちょっと気圧されて、無難にナポリタンを注文。麺太め軟らかめ、ケチャップたっぷりの正統派です。他の人がオーダーしたハンバーグナポリタンの運ばれるところが視界に入ったのですが、山盛りにしたナポリタンにハンバーグがドテッと乗った命名に偽りなしの代物。まったくそのまま。圧倒的な即物主義。飲食におけるアルテ・ポーヴェラ。小細工なしの直球勝負が却って新鮮に映り、感に堪えなかった次第。
 では、今週もよろしくお願い致します。

『ジャン・ユスターシュ』
エスクァイアマガジンジャパン 
2001年3月7日初版
遠山純生編集

レオス・カラックスがリスペクトし、      
フィリップ・ガレルがオマージュを捧げてやまない
ヌーヴェル・ヴァーグの異才ジャン・ユスターシュ
の詳細が書かれたブックレット         

1,300円
       









2014年11月8日土曜日

灰色錫のそら

 とつぜんやって来た寒さになんの身構えもできず、生まれたての子やぎのように震えながら、千葉県八千代市大学町1-1に位置する秀明大学で開催されている学園祭「飛翔祭」に行ってきました。目的は、学生になりすましキャンパスに潜入して失われた青春を取り戻すことではなく、文学展として企画された「宮沢賢治展」を見るためです。当展示の目玉は、新発見の賢治自筆資料といわゆるブロンズ本と呼ばれる『春と修羅』。賢治以外にも同時代の周辺文献として、萩原朔太郎の無削除版及び与謝野晶子宛献呈署名入りの『月に吠える』や現存1部と云われる高村光太郎『道程』特製版、その他啄木、犀星、中也といった日本近代詩を彩る豪華メンツの稀覯本が、これ見よがしでなく当たり前のように陳列されている贅沢ぶりです。
 自筆資料は、同級生に宛てたハガキや書簡など。その筆致は、神話の世界の存在のような宮沢賢治が、東北の地で確かに生きて悩んでいたことの痕跡を生々しく表していると思いました。ブロンズ本というのは、聞くと頁が青銅で出来ているとんでもない代物に思いますが、実際は背表紙をブロンズの粉で塗りつぶしたものを称して、そう呼ぶそうです。「詩集 春と修羅 宮澤賢治作」と書いてあるのを恥ずかしく感じた賢治が、自分で塗りたくったと云います。自作の出来上がりを目にして何か屈折した感情を抱いた賢治が、わざわざ用意したブロンズの粉を本になすり付けている様は、想像すると感動的です。『「春と修羅」ブロンズ本』は、賢治の手の運動性を想起させるという意味で、おそろしく貴重な本というわけです。
 寒空の下を電車とバスに揺られて辿り着いた初めて降り立つ地。そこで見た詩集群は忘れられないものとなりました。

京成電鉄本線勝田台駅北口バス停付近
今回の自筆資料の旧蔵者、
成瀬金太郎宛のハガキ  
成瀬氏は賢治の     
  盛岡高等農林学校農学科第二部
  の同級生          



背表紙の3冊内左が普通のもの、
中と右がブロンズ本      

石川善助の没後刊行された『鴉射亭随筆』
賢治が追悼文を寄せている       
 石神井書林の内堀氏が、鶉屋書店の飯田氏に
 市場に出たら強く入札しろと教えられたのが
 この本ではなかったでしょうか。     


灰色の空と色づく葉っぱ





 
 
 
 

2014年11月6日木曜日

沙翁装丁本

11/7(金)・8(土)は仕入のため14時の開店です。
よろしくお願い致します。

 練馬区立美術館で開催中の「見つめて、シェイクスピア!美しき装丁本と絵で見る愛の世界」展を見てきました。招待券をいただいた縁で見に行ったですが、かなり見所の多い展示でした。建物は西武池袋線中村橋駅からほど近い場所にあり、1階が図書館で2階が美術館という造りです。エントランスの広場には背の高いケヤキが植わっていて、間隔を広く取ったベンチの据え付けてある雰囲気が、いかにも公営という感じがして、わけもなく鷹揚な気分になったりします。どこかの保育所の1歳ぐらいの小さい人たちが、保育士さんに連れられて散歩の途中なのか、階段の踊り場で立ったり座ったり転がったりしていました。
 入ってすぐの展示室には、世界のブックデザイナーたちが手がけたシェイクスピアをモチーフにした装丁本が約80点。意匠を凝らした出来に見入ってしまう上に、今の世にこれほど装丁家がいることにも驚きます。数千、数万単位で造本される出版流通に慣れた目には、世界にこれ1点、という本の扱い方は不思議なものに見えます。ここは、技術的複製可能性を出来る限り反復不可の一回性に転倒させようと試みる者たちの作品が集まる反時代的空間です。こんなのが市場に出た日には、いくら声を出せばいいのだろうかと不埒なことを思いながら見ていました。
 それにしても、文字をデータ化することに躍起になってる人もいれば、堅固な物質性に閉じ込めずにはいられない人もいるという現代。本が売れないなどというのは、こういう過激な過渡期における副次的な経済現象に過ぎないと思えてきます。とは言え、本が売れないと路頭に迷いかねない人もいるので(ウチですね)、なにとぞ身銭を切っていただきますよう。


練馬区立美術館

『本の美しさを求めて』 関川左木夫
昭和出版 1979年2月15日初版
函 帯 署名入
 
2,500円







 

2014年11月5日水曜日

フロンティア

11/6(木)・7(金)・8(土)は仕入のため14時からの開店です。
どうぞご了承下さいませ。

 原宿キャシディがあり、中華シブヤがあり、カフェバッハがある・・。衣食におけるオーセンティックなシーンを牽引する名店。どの店も創業から30年以上〜半世紀に近い時を経て第一線から後退するどころか、なお新たな開拓精神を灯し続けて止みません。当店は創業半年。行き当たりばったりにいろいろ灯していきますので、なにとぞご愛顧のほどお願い申し上げます。
 と適当なことを書いてブログを埋めようとするも、特にネタがないので先が続かず。そういう時は無理してアップすることもないのですが、往生際悪くヤフーニュースなどを流し見して、何かネタを拾うという凡庸な行為に出てしまいます。そして見つけたのが、「都会の秘境駅となった住吉公園駅の岐路」というトピック。大阪の阪堺電気軌道上町線の住吉公園駅が、利用者減少により運行本数を大幅削減、ダイヤ改正に伴い終電が午前8時24分になってしまったという話です。
 住吉と言えばずいぶん都会のはず。商圏開発などによる導線の変化など要因はいろいろあるかと思いますが、終電が8時台とは早すぎです。この状況、中央区にありながら未踏の地であるかのような当店にも関係のある話です。銀座・日本橋の賑わいとは無縁の八丁堀。しかし手つかずであるからこそ、そこかしこから濃厚な歴史的地層の匂いがムンムンしてきそうな気がしないでもないわけです。まさに開拓精神に満ちた者たちのための町。一旗あげたい人、お待ちしております。

畦地梅太郎 『若者』
1958年 額寸法62.5×47.4センチ
SOLD



 

2014年11月3日月曜日

東風虎穢土ッ子DAY

 日頃の行ないに関しては、悪くもないが特に良くもないと思っているのですが、何か見えない力が地球に作用したのか、懸念されていた天気はなんとか持ち堪え、大江戸骨董市は無事開催される運びとなり、当店もしこたま売り上げてビルの一棟でも建てるぐらいの気概で出店してまいりました。 
 実際はビルを建てるどころか、家賃滞納で店の入っているビルからいつ追い立てを喰らうかという危機感を常に抱きながらの毎日です。素晴らしき自転車操業。宵越しの銭を持たないにも程があるといった感じでしょうか。そんなヒリヒリとした日常から逃避するかのような空の下の行商だったのですが、古物を目当てにこれだけ多くの人が行き来するのを見ると、日頃ウチの店にも少し足を運んでくれたっていいんじゃない?と重過ぎる疑問符を背負いながらの骨董市。イベント化するとそれなりの集客を期待できるのに、店舗単独では話にならないという状況は、決して当店だけの問題ではありません。ベテラン業者からも、店はもはや倉庫にして行商で日銭を稼いでいるのだという声を聞きます。何かが確実に崩壊しているわけですが、その代わりに何が生まれつつあるのでしょうか。明敏な頭脳も野生の勘も持ち合わせていない自分にはそれが何かはよく分らず、ただぼんやりと移動販売のカレーをもりもり食べるのみです。
 次回の開催は11月16日(日)です。当店も参加いたしますので、どうぞよろしくお願い致します。


『つゆのあとさき』 永井荷風
中央公論社 1931年12月16日15版
函 天金 
2,000円





2014年11月1日土曜日

耳をすませば

明日11/2(日)は有楽町の東京国際フォーラムで開催される
大江戸骨董市に出店いたします。
天気予報は二転三転して、曇りのち晴れに変ったようです。
皆さまのお運びをお待ちしております。

 毎週金曜日ともなれば、都内のどこかしらで開催される古書の即売会。昨日も欲望渦巻く神田の古書会館に潜入を敢行。というか、仕入です。あらかじめ欲しいものを決めて臨んでも、都合良く出てくるわけもなく、却って目が曇って他のおもしろい出品をスルーしてしまうおそれがあるので、物欲は常にニュートラルに保持しておきます。などと言いいながら、ケルムスコット本が何かのまちがいで1500円ぐらいで買えないだろうか、と不埒な欲望が頭の隅にもたげているのも事実。煩悩から己を解き放った者にこそ古本の女神は微笑むのだ、とブツブツ独り言を呟きながら物色を開始しました。
 精神を集中したときに聞えてくる会館内のさまざまな音。咳、くしゃみ、あくび、放屁、紙をめくる音、杖が床を突く音、業者の腹が鳴る音、釣銭を渡す音、掘出しを見つけた人が目を見開いた音・・、それらの音をサンプラーで録音して電子音をかぶせれば、それなりに聞き応えのあるノイズミュージックができるかもしれない。それをメルツバウばりに50枚組のCDにして発売すれば、古書と音楽の融合という新しいカルチャーの出現としてBBCあたりが取材に来るのではなかろうかと、どうでもいい妄想にとらわれているうちに時間切れのため離脱を余儀なくされました。
 明日は大江戸骨董市に出店いたします。店内をひっかきまわして物を集めてきますので、どうぞ見にいらしてください。

『異霊祭』 吉岡実
書肆山田 1974年4月25日 発売 牧神社


SOLD OUT