12.25(火)-28(金)/1.4(金)-6(日)年末年始の年またぎ痛快企画『Oubai 漆・蒔絵展』の準備が整いました。というか整ったことにしないと、いつまでもキリがないことこの上なしといった感じです。おもに明治・大正あたりの時代椀や盆や皿などが並びました。桃山・江戸初の古格があるわけでもなし、松田権六や北大路魯山人の際立った作家性、磯矢阿伎良や奥田達朗の明瞭な批評性を備えているわけでもない、半端物の扱いで専門に取り上げる業者もいないようなジャンルに、あえて決死のダイブを試みる骨董界の荒くれ七面鳥ことOubaiさんの入魂のワーク・イン・プログレスをこの機会にぜひご覧ください。
こんなにも漆器が並ぶ様は、『遠野物語』のマヨイガの話を思わせます。「牛小屋ありて牛多く居り、馬舎ありて馬多く居れども、一向に人は居らず。終に玄関より上がりたるに、その次の間には朱と黒との膳椀あまた取出したり。」
このマヨイガの一節は、立派な門があって、庭に一面花が咲いて、鶏や牛馬がたくさんいて、という農家の理想的風景と思われる描写のあとに、漆の椀が出てくるのがおもしろいところです。椀貸伝説のような類型的な伝承然り、やっぱり漆器は富を象徴する威信財だったんですね。そもそもこの店が、なぜこんなところでこんな物を売ってるのかという隠れ里的ポジションですので、漆椀が山積みになってる光景は、案外しっくりきたりするものです。
それと、昨年当店でも展示をしてくれた植木智佳子さんが、新川の魔窟「マレビト」にて『ギンエンの密約』という展示をしています。12.22(土)-30(日)13時-20時、最終日18時まで。逆光⇄マレビトは徒歩で7~8分。マヨイガとかマレビトとか、なにやら師走にとつぜん口を開けた柳田・折口的な異界への穴に迷い込んでみてください。
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