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2017年8月12日土曜日

漆で顔を洗って出直す

インスタグラムもやってます→👃 

 千葉県佐倉の国立歴史民俗博物館で開催中の『URUSHIふしぎ物語 -人と漆の12000年史-』を見てきました。天然の塗料や接着剤としての漆の効用が、人間の営為のなかでどのような文化を形づくってきたかに焦点を当てた企画です。結果としての名品を鑑賞の立場で見る展示とは違って、それらを産み出した歴史・過程を出土物によって知ることができる貴重な機会だと思います。考古的見地に立った陳列はかなり見応えがありました。手に入らないと分かっていながらも、欲しいものチェック機能が自動的に作動してしまい、とても疲れました。NHKの日曜美術館で特集したからなのか、地味な企画だから空いてるだろうと高をくくっていたのは間違いでした。館内のレストランにも行列ができていて入れずじまい、古代米ハヤシライスを食べ損ねました。
 会場に入ってすぐ右手では、漆掻きの光景を上映しています。職人が専用のカンナでウルシの木にキズを付けて、そこから滲み出す樹液をヘラで掻き採るのですが、わずかな数滴をすくってタカッポと呼ばれる漆桶に集めます。腕前や時期によりけりですが、1日の採取量は250〜500グラム程度のようです。希少性で言えば、神保町眞踏珈琲店の水出しコーヒー以上ですね。そうした材料としての貴重さが、漆器に対する畏敬と敬遠を生み出しているのかもしれません。また産地や時代について、陶磁器ほどには確定できないことも、漆への謎の思いを深めている原因と言えそうです。どうあれ、人は漆に利便性と美的価値を見出してきて、それは連綿と今に至るまで続いています。
 そうした漆の効用を体現する器を今まさに作っている人物として、鳴子の小野寺公夫を挙げて、去年に続き10月に当店で展示会をいたします。と、相当まわりくどい宣伝になってしまい恐縮です。歴博の展示で通時的に見たあとで、小野寺さんの漆器を共時的な視点で見てみると、よく分からなかった漆に対して仄かな愛が生まれてくるかもしれません。


博物館入口には掻いたあとのウルシの木が。
その年で漆を採り尽くして切ってしまう採取方法を
殺し掻き、数年にまたがって採るやり方を養生掻き
と言います。日本では今は殺し掻きが主流だそうです。

博物館へ至る道。
緑がモサモサしてます。

モサモサ。

モサモサ。

モサ。

かなり唐突に猫に遭遇。触らせてくれました。

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