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2014年5月7日水曜日

得体の知れない

昨日の寒さから一転、八丁堀は今日はいい陽気です。
本日も12時〜19時まで営業しております。

 駄文を弄すると言いますが、このブログがひとつの典型でしょう。伝えたいことが溢れ出てしかたがない天性の表現者ならばともかく、ページを埋める苦労だけがにじみ出た文章を綴って公開するとは、どういう因果でしょうか。なにか思いついて、頭の中ではいい感じに言葉が連なっていくのに、原稿用紙やパソコンに書いたとたん、思いついた時の高揚というかリズムがなくなってしまって、そしたらあとはもう言葉に振り回されるだけです。言葉にもてあそばれている感じですね。
 言葉のそういうわがままなところ、言葉があっちこっちに転がり回って制御不能になる、そういう言葉そのものが主人公の小説があります。というか、もはや小説なのかも分かりません。ジェイムズ・ジョイスの『フィネガンズ・ウェイク』です。この作品では、言葉がお話を伝える道具であることを止めて、紙面上で誰が何をしてどういう事態が起きているのか伝達することを放棄しています。わけも分からず、字面を追うだけ。不眠症を患い永遠に読み続けよ、とジョイスは言いました。
『フィネガン徹夜祭』ジェイムズ・ジョイス
鈴木幸夫・野中涼・紺野耕一・藤井かよ
       永坂田津子・柳瀬尚紀訳 堀内誠一装幀       
都市出版社 1971年12月25日初版   
函背少傷 帯            
2,200円 
        


2014年5月6日火曜日

一周遅れて先頭に見える

本日も12時〜19時まで営業いたします。 

 開業前のお話です。古本とか古道具とかを売ったり買ったりして生きていきたいなあ、という思いをベテラン古書店主に相談したところ、「店を持つなら、物件を取得して内装に手を入れて什器を揃えて在庫を確保する。それでだいたい2,000万円ぐらい」と言われました。二千万!それだけの金を動かせる度量と甲斐性があったら、そもそも古本屋になりたいというメンタリティに陥らないのではないかと思いましたが、口には出さず、「ほほお」とつぶやいて謎めいた表情をつくり、遠くを見つめました。
 いずれは法人化して店舗を増やし、従業員を雇い入れ、港区あたりのランドマークとなり得るような商業施設にテナント出店して、業界内でも稀なビッグサクセスをつかんだ人物として世間の耳目を集めたいわけではないのです。そこは声を大にして言いたい。ひとまず食べていければいい。そこはどうしても声が小さくなってしまう。いい年して好きな事で食っていこうとは、成熟してない証なのか時代からズレすぎているのか。

『フェルディドゥルケ』ヴィトルド・ゴンブローヴィッチ
平凡社ライブラリー 2004年12月8日初版
背少ヤケ 帯             
30歳なのに学校の6年級に入学させられた主人公の
反-成長譚。未成熟は成熟の欠如ではなく、成熟が
未成熟の欠如なのだという作者の思想が表された
    突拍子もない傑作                  
1,200円






赤いプラスチックのピクニックセット
高さ12.5センチ直径6.5センチ
筒の中には入れ子のコップが3つとスプーン1本、
フォークが3本にナイフが1本
童心へといざなう発色の良い赤色。災害携帯用としても。
SOLD OUT

2014年5月5日月曜日

今日は何の日

 本日も12時〜19時まで営業しております。

 今日5月5日といえば・・・そう、「わかめの日」ですよね。今の時期は新わかめの採取が一段落して新鮮なわかめが市場に出回る頃で、わかめの消費を促そうと、1983年に日本わかめ協会がこの日を「わかめの日」に制定しました。
 わかめにはセルロースやアルギン酸が含まれており、これらが肥満防止や高血圧抑制に高い効果を発揮するそうです。また、縄文時代から携行容易な食べ物として広く食され、遺跡からはわかめの遺存体も発見されているとのこと。さらに平安時代には朝廷で、わかめが給与として支給されたこともあると言います。
 もし現代において、月々の賃金がわかめで支給されたとしたら、ちょっとドキドキしないでしょうか?身を粉にして働いた対価がわかめで支払われる。それは何か新しい時代到来の予感。一新される資本主義。さよならグローバリズム。ただ、現物支給は労働基準法で原則的に禁止されていますから、実現にはまだ多くのハードルがありそうですね。
  
石匙 縄文時代
長さ106ミリ幅29〜31ミリ厚さ10ミリ
「いしさじ」もしくは「せきひ」と読みます。
さじと言ってもスプーンの用途はなく、
見た通りナイフの役割をしていました。わかめを
カットしていた可能性もあるかもしれません。 
SOLD OUT



  東京都中央区八丁堀2-3-3 2F
  Tel&Fax 03-6280-3800
  gyakko3@gmail.com
  12時〜19時 日曜定休

2014年5月4日日曜日

小さいもの好きの皆様へ

 日曜定休を謳っておりますが、本日5月4日は開けており
ますので、何かの折りに近くにお越しの際は、どうぞお運び下さいませ。

 とはいえ、似たようなブロックの多い八丁堀界隈の一画にある小さなビルの小さな店ですので、初めてお越しの方は、なかなか見つけられないと思います。ただ小さいといっても、肉眼で捉えきれないほどではありませんので、以下、最寄駅からの道筋のご説明を。

 ①地下鉄日比谷線八丁堀駅A5出口より外に出て廻れ左をして下さい。すぐ右手に『ファミリーマート』、数歩進んでいただくと『アクセア八丁堀店』がありますので、その角を右折。そのまま250メートルほど直進していただくと壁面に『ZOE』という看板の掛かった白っぽいビルがあります。その2Fが当店です。
 ②地下鉄都営浅草線宝町A2出口より外に出て廻れ右をして下さい。そのまま直進。鍛冶橋通りに行き当りますが、渡らずに左折。弾正橋を渡りながら首都高下をくぐると左手に名店『中華シブヤ』が見えますので、そこを左折。そのまま250メートルほど直進していただくと、左手やや上方に『コピーショップジェイコピー』の青い看板が見えます。その看板にある矢印通りの道に入ると、①とは反対側からアプローチします。『ZOE』の黒い庇が目印です。
当店の在庫でいちばん小さい物です。
「南米の古い土錘」:布を織るときに経糸の錘に使ったもの
だそうです。
16×13ミリ。コウノトリと思しき鳥類の線刻が入っています。
sold

東京都中央区八丁堀2-3-3 2F
Tel&Fax 03-6280-3800
gyakko3@gmail.com
12時〜19時 日曜定休(5/4は営業)

2014年5月3日土曜日

志賀直哉とジャンボ鶴田

 皆さんは才能というものの有る無しで悩んだことはありますか。端からは努力をしているように見えないのに、図抜けた才能で同業他者を圧倒してしまう人がいるものです。志賀直哉という作家は、そういう部類に属する人だったのではないでしょうか。作品論は手に余るので、人物像を追いかけてみます。
3つエピソードがあれば、その人となりが分かるとニーチェが言ってますから、聞きかじりのを以下に3つ。
①ある日、通りがかりの公園で草野球をやっていた。志賀は近くで見ようと養生中の芝生に踏み込んだが、そこの管理人に威丈高に注意された。その態度に切れて、管理人に殴りかかった。
②祟りがあるというお地蔵さんの噂を聞きつけた志賀は、そのお地蔵さんをわざわざ蹴飛ばしに出かけた。後に蹴飛ばした方の足から腰にかけてが動かなくなり、何十日間か寝込んだが、それでも祟りを信じなかった。
③作品には否定的だった中村光夫だが、志賀本人に会った時、志賀の人を魅惑してやまない危険なオーラにびびった。
どうでしょう?あの簡素な小説とは違う人間が浮かび上がってきましたか?案外、ああいう小説こそ傍若無人なところがないと書けないのかもしれません。こういう人にものを書かれると手も足も出ない、と感じた同時代の作家は多かったのではないでしょうか。

暇にあかせて、志賀直哉に匹敵する才能の持ち主って誰だろうと考えていたら、どういうわけかジャンボ鶴田が浮かんできました。自分の才能を持て余したような試合運びは、相手レスラーにとって、絶対的な他者性として屹立していたのではないでしょうか。で、3つのエピソードを手短かに。
①60分ドローの試合後、相手の長州力はロッカールームで動けず。鶴田はシャワーを浴びてから飲みに出かけた。
②当時最強の呼び声高いブルーザー・ブロディでさえ、鶴田に勝った時は感極まって涙を流した。
③そもそもバックドロップの落下角度が凄すぎる。

ジャンボ鶴田のジャーマンスープレックスが描く弧の美しさは、志賀直哉作品の静謐さに似ている気がします。

『雨蛙』志賀直哉 改造社 大正14年初版 裸本 
                背ヤケ SOLD OUT
『ジャンボ鶴田の受験は格闘技だ』ジャンボ鶴田 
        ごま書房 1996年初版 帯 600円

気になる品物がありましたら、お問い合わせください。


東京都中央区八丁堀2-3-3 2F
Tel&Fax 03-6280-3800
gyakko3@gmail.com
12時〜19時 日曜定休















2014年5月2日金曜日

門前の小僧の上にも三年

 皆さんは、東京都中央区の八丁堀にある書肆逆光という店をご存知ですか?古本と古道具を扱う店なのですが、おそらく世界の大多数の人がその存在を知らないはずです。というのも、その店は今年の5月1日(つまり現時点で昨日)に私が勝手にオープンした店で、尚かつ開店に際しての宣伝告知を一切していなかったからです。開業準備が秘密裡に遂行されなければならなかった理由は特にありません。私の何事も先延ばしにする性格が、ここでも十二分に発揮されたという話なのです。
 本の品揃えは、ひとまず手持ちの本を棚にぶち込んだだけで、いかにも雑多なのですが、いかんせんまだ量に乏しく「雑」の魅力を十分に見せているとは言えないかもしれません。とはいえ、1冊1冊見ていけば、何かしら面白いものが見つかるような気もします。
 古道具の方もやはり雑多です。いわゆるジャンクと呼ばれるものから、土器や瓦、李朝や唐津、得体の知れない物体の残欠などが脈絡を形成しきらずに並んでいます。興味をひくものを見つけた際には、どうぞあれこれお尋ねください。皆様のお運びをお待ちしております。
 
 東京都中央区八丁堀2-3-3 2F
 Tel&Fax 03-6280-3800
 gyakko3@gmail.com
 12時〜19時 日曜定休