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2018年10月27日土曜日

韓国紀行 壱

 思うところがあって韓国へ行ってきました。と言うほど特に何も思ってないのですが、とにかくソウル駅に隣接する市庁区域に宿を取って、そこを始点にして、気になるところを廻ってきたのでした。何が気になっていたのかというと、まずは国立中央博物館です。おもに朝鮮王朝時代の器物を見て、古物業者としての見識を少しぐらいは高めた方がいいかもという腹づもりでありました。先日見た民藝館の『白磁』展の李朝が、抵抗なく目に収まる感じに比べると、中央博物館とか大阪東洋陶磁の安宅コレクションの収蔵品は、遥かに手強いです。目の前に出てきても、どうせ買えないからと遠目で見てる感じ。圧倒的な楷書感。中国陶磁のすぐ隣りっぽさが濃厚。民藝館のものなら買えるというわけではもちろんないですが、戯れに脳内で値踏みぐらいは人はしてみるものです。が、こっちは無理。8000万なのか25億円なのかよく分かりません。分かったとしても、どうにもならず。自分の朝鮮陶磁の見方は、明らかに柳宗悦とその仲間たちの好みを刷り込まれたものです。
 この博物館のすごいのは、収蔵品と陳列の怖るべき充実ぶりにもかかわらず、入館料がタダということです。タダより高いものはないという考えが身に沁みた苦労人だと、怖くて入れないのではないでしょうか。でも簡単な手荷物検査を済ませたら、あとは本当に見放題です。この日は実は、はじめの方の考古遺品に目を奪われ過ぎて、陶磁器を見る時間がほとんどなくなってしまいました。閉館のアナウンスが聞こえたあたりから、『はなればなれに』のルーブルのシーンのごとく、閃光のように館内を疾走して無理やり網膜に焼き付けてきたのでした。たしか三嶋の礼賓手が、ズラリとまるで雑器のように並んでいたように思います。
 というわけで、強引なインプットによる疲労でフラフラになりながら、明洞まで出て通りを放心の態でさまよっていました。夕方を過ぎるといっせいに屋台が並ぶ通りがあって、視界に入るたびに気になって仕方ない焼き栗を買ってみました。甘くてほっこり、ではなくて、ボソッとした木の実を食べているようです。あとで聞いたところでは、栗は公州のものが有名で、それ以外は中国ものが混じっていることが多いそうです。これはどっちだったのでしょうか。失われた野性が漲る気がして、自分はけっこう美味いと思いました。初日はこんな感じです。気が向いたら続きを書きます。



アシアナ航空旅客機。小さめですね。 
仁川空港。荷物受取りのコンベア好きを集めて何かイベントを
催してみたい気がします。                

韓国の電話ボックス

街並。 
国立中央博物館。豪壮で先鋭的な感じがまったく写っておらず。


こういう形の塗りの高杯、初めて見ました。

なんて丸いんだ!と声を上げずにはいられない。

消火器が銀色

以前に扱ったことのあるものと同じ手がありました。蓋と身が
合ってないのでは、と思ったのですが、ほんとにこういうもの
なんですね。伽耶のものだそうです。           

金属器のような厳しさ。

200円入れたら動きそうな形。

金宗學さん寄贈の木工コーナー。薬箪笥。
文匣。


李朝木工の簡素さと韓国のマンションの造形はやはり
似ているようです。               

 




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