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2018年3月15日木曜日

摂津國紀行①

 美味しいたこ焼きを食べたい、李朝の名品を見たい、という二つの欲望を同時に満たすために大阪へ。東京駅でチキン弁当を買って早朝の新幹線に乗り込む。人はいつだって新幹線のプラットホームに立つとときめきを禁じ得ないもので、この感情の高揚こそが若さを保つ秘訣かもしれないという「新幹線健康法」をにわかに思いつき、出版してくれる版元はないだろうかと妄想を展開しているうちに新大阪に到着。すぐに地下鉄御堂筋線に乗り換えて淀屋橋へ。大阪ではエスカレーターの片側空けが左、つまり人は右に寄るんですね。東京と反対。この文化的衝撃こそ旅の醍醐味です。
 地上に出ると初めての中之島。雰囲気がちょっと日本橋に似てるのですが、もっとおおらかで洗練されてる気がしました。地の利はありませんが、整備が行き届いているので大阪と聞いて思い浮かぶラビリンス感はないので迷うことはありません。図書館前に鈴なりになった雀もふっくらしていて育ちがいい感じ。すぐに目的地の東洋陶磁美術館に着きました。李朝陶磁を見る前に、開催中の「唐代胡人俑ーシルクロードを駈けた夢」を拝見。フタコブラクダ俑のコブの表現に釘付けでした。あのコブは見た目には何かがみっちり詰まっていて堅そうですが、実際の中身は脂肪で触ると柔らかいそうです。だから歩くと振動でたわむのか、俑のコブもそんな感じに左右にしなったような表現になっていました。その手綱を曳く人物俑の姿といい、カッティング・イン・アクションのリアリズムは、日本の造形からすると馴染みにくい強さがあると思いました。
 高麗・李朝に関しては言わずもがなの高嶺の花揃いで、もはや物欲を刺激されようもないのですが、万が一にピンポンパンのおもちゃへ行こう!的なノリで、李朝へ行こう!と館内放送がかかった時に何を奪取するかぐらいの緊張感は携えながら見ていました。
 さて腹も減ったし、そろそろたこ焼きだ。ということで、梅田に戻って激烈に混んでいる阪急地下食品売場の素敵なお菓子たちを横目に地上へ出ると、目当ての「はなだこ」の前には2万人ぐらいの行列。しかしそこで怯んでいたら、大阪にやって来た甲斐がないので整然と列に付きました。順番が来たら横並びのカウンターで立ち食い、待ってる人たちはその背後に並ぶという斬新なシステム。カオスとコスモスが共存している大阪の洗礼を受けたように思いました。たこ焼きはもうこんなのは当然だと言わんばかりに、当たり前に旨かったです。食えと言われたら何個でも食べられそうですが、カオスとコスモスがそれを許さないという感じでした。
 梅田近辺をじゅん散歩ばりに歩いてみたかったのですが、人々に圧殺されそうなので、またも淀屋橋にターン。旅慣れた人には叱られそうなほど移動の効率がとんでもなく悪い。ひとまず宿にチェックインしてエナジーをチャージすることにしたのでした。
つづく・・



プリッとした感じを表すために全霊を込めた、そんな
気概が漲るラクダのコブです。          
                  
御堂筋線淀屋橋駅を出たところ
中之島の図書館

図書館の天井

階段



道が広くて歩きやすいです



太鼓腹が素敵な胡人俑

ラクダを操っているパントマイム感がよく表されてます

みんなが欲しがるものですね

これも

これも

大胆な鉄絵

本気なのか、と問いたくなる思い切りの良さ

元の染付。一発逆転アイテムですね

梅田の横断歩道脇で歌っていた南米の人と思しき男性
ランバダを熱唱してました。たこ焼き待ちの時   



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