一瞥しただけでは小さな黒い塊ですが、よく見れば俵の上に乗って袋を担いでいるので、大黒像であることは分かります。しかし割と変な大黒さまです。米俵を三つ重ねて乗ってますね。たいてい二俵ですが、それは米二俵の食い扶持で足れりとする清廉な心を教えているとのこと。だとすればこの大黒さま、常より1.5倍ほどの貪欲さを示し、そのぶん多くの福をもたらしてくれるかもしれません。川崎の金神神社の福寿大黒天(江戸時代)が三俵に乗っかってるので、類例があることはあるようです。が、俵の向きはふつう端の桟俵を前にすると思うのですが、どういう事情によるものか、これは側面。そのため、なにやら土管の上にしゃがみ込む謎めいた人物に見えます。ブランクーシかアンリ・ゴーディエ=ブルゼスカを1世紀以上先取りしたかのような抽象的な造形、虫喰いの痕も好ましい魅力に満ちた大黒さまです。お手元にぜひ。
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高さ6.4×俵の巾3.1センチ
江戸時代
彫りによるものなのか光の加減のせいなのか、怒った顔
にも見えます。元はインド発祥の憤怒の形相をした神様で
あったそうですから、系譜学的には正しい表情であるとも
言えます。 |
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七宝が入っているとされる袋。こんもりとした
彫りがかわいらしいです。 |
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