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2016年11月4日金曜日

複製技術時代のジャーマンスープレックス

11/3(木・祝)〜12(土) 吉田伊豆写真展『風流文字』を開催中

19(土) 村上蕉雅さんによる花活けのワークショップ『古物に花活け』を開催
参加者募集中です
20(日) 東京国際フォーラムの大江戸骨董市に出店いたします

12/9(土)〜13(火) 古道具イベント『点店4』開催


 刺繍があって漆器があって、写真が来て、間を縫うように古道具が3回。というのが今年当店で催した(催すことになる)展示会です。ややもすると脈絡の無い取り合せに思えるのですが、実際脈絡は無いようです。その時々の縁をつないでみたらこうなったという感じで、思い返すと感に堪えません。
 現在開催中の吉田伊豆写真展は、248枚もの作品が並ぶ意欲に満ちた展示です。満ち溢れすぎて、一見では2L版の観光絵ハガキがばら撒かれているだけに思えるかもしれません。伊豆さんの写真はデジタルなのですが、古いアルバムから引き剥がしてきたかのような銀塩写真に見えると思います。これはインクジェット方式で出力された写真をお湯で洗うことで生まれる効果だそうです。水をくぐった印画紙は少し波打って、画面に表情を作り出します。時に洗いすぎてインクが流れてしまい、ニエプスの風景写真のような黎明期の趣きを見せている作品もあります。またフレーミングの妙によって対象物が抽象化し、上下左右が分からなくなったものもあります。どこかアイロニカルなユーモアが漂っていて、エイジングによる単なる古写真の再現とは一線を画しています。じっくり見ていると、表現形態の枠組みを意識した批評性と、物を写し取るという写真に本来潜む呪術性が静かに開示してきて、徐々に体内へ浸透した後に、ある地点で衝撃が駆け抜けます。関節技の応酬から最後に投げ技を決められたといった感じでしょうか。ぜひ時間をかけてゆっくりとご覧になってください。お待ちしております。


プリントを買うという習慣が日本には根付いていないと
思いますが、所有してみたくなる写真がたくさんあります。
並んでいる写真はすべて販売しております。      





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